Page 2628 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼(続)工藤進英、、好きだった人I 東 伸之 06/3/14(火) 23:49 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人I かに 06/3/15(水) 0:37 ┗(続)工藤進英、、好きだった人II 東 伸之 06/3/15(水) 23:59 ┗(続)工藤進英、、好きだった人III 東 伸之 06/3/17(金) 0:04 ┗(続)工藤進英、、好きだった人IV 東 伸之 06/3/18(土) 1:43 ┗(続)工藤進英、、好きだった人V 東 伸之 06/3/19(日) 1:50 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人V ゆう 06/3/19(日) 23:10 ┗(続)工藤進英、、好きだった人VI 東 伸之 06/3/20(月) 2:10 ┗(続)工藤進英、、好きだった人VII 東 伸之 06/3/21(火) 6:58 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人VII サト 06/3/21(火) 11:12 ┗(続)工藤進英、、好きだった人VIII 東 伸之 06/3/22(水) 3:38 ┗(続)工藤進英、、好きだった人IX 東 伸之 06/3/25(土) 2:01 ┗(続)工藤進英、、好きだった人X前編 東 伸之 06/3/26(日) 4:15 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人X前編 かい 06/3/26(日) 9:19 ┗(続)工藤進英、、好きだった人X後編 東 伸之 06/3/27(月) 2:15 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人X後編 サト 06/3/27(月) 9:33 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人X後編 よーた 06/3/27(月) 11:32 ┗(続)工藤進英、、好きだった人XI 東 伸之 06/3/28(火) 7:14 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人XI K' 06/3/29(水) 9:53 ┣Re(1):(続)工藤進英、、好きだった人XI りょーへ 06/3/29(水) 23:17 ┣東です。 東 伸之 06/3/30(木) 1:09 ┃ ┣Re(1):東です。 まあ 06/3/30(木) 12:49 ┃ ┗Re(1):東です。 K' 06/3/30(木) 13:23 ┗(続)工藤進英、、好きだった人XII 東 伸之 06/4/1(土) 22:17 ┗後書き 東 伸之 06/4/1(土) 22:31 ┣Re(1):後書き ノエル 06/4/1(土) 22:50 ┣Re(1):後書き サト 06/4/1(土) 23:14 ┣Re(1):後書き よしゆき 06/4/1(土) 23:36 ┣Re(1):後書き K' 06/4/14(金) 19:07 ┗Re(1):後書き J 06/4/25(火) 19:18 ─────────────────────────────────────── ■題名 : (続)工藤進英、、好きだった人I ■名前 : 東 伸之 ■日付 : 06/3/14(火) 23:49 -------------------------------------------------------------------------
| 流れ往く景色の中で俺はひたすら南洋の影を追っていた。 景色と記憶はシンクロしてて、数々の思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。 南洋生活の余韻ともいうべきか。 そして俺は光るものを拭う。 車内に視線を移すと、、うかつだった、父が乗っていたんだ。 ちょっとばつが悪かったがすぐ切り替え、なんでもない、という『かぶり』を入れる。 車内はショパン以外は無音だ。 絶妙のタイミングで、セクレタリーがスケジュールの確認をし始めた。 「この後、港区本社には19時着の予定です。 19時より臨取(臨時取締会)引き続きブリーフィング。 20時半より会合、10時00分にに料亭「花牛」で総理、国交省矢嶋次官との会食となっております」 「、、、」無言。 あの一件も相まって、重苦しい雰囲気に俺はやられていたが、沈黙を破ったのは意外にも父だった。 「この前の事をまだ気にしているのか。器が知れるな」 さらに 「くく、仕方あるまいな。お前はまだまだ乳飲み子だ。せいぜい小市民でも気取っているがいい」 言い返せない事も事実。が、もっと違う言い方がないのかと、いつもの事ながらに感じていた。 だが、普段寡黙の男が今日はいつになく多弁であった。 この前のアレで少しは俺と父との関係も変わってきたのかもしれない。 「まぁいずれにせよ、今日からは晴れて『一高生』だ。ふふ、少しは楽しませてくれるんだろうな」 この一言で俺は救われた気がする。 まぁ父の中では俺を玩具ぐらいにしか思っていないという表れであるが、俺にはそれでも充分すぎた。 「明日18時、TVを付けておけ」 その一言を残し、アイマスクを取り仮眠に入った。 父と秘書はオンタイムで千歳から羽田に翔んだ。 俺は黒塗りのロールスロイスで、手稲の宅に送られるようだ。 強化ガラスとスモークの効いているウインドウ。 父の言葉を借りれば「権力」に弱い一般人は、異様な雰囲気を醸し出しているこの車には近づき難いようで。 前にも後ろにも十分すぎるほどの車間距離が置かれていた。 懐かしい町並みが広がる。 途中、母校の鉄南小学校のを前を通る。 春に始まった校舎の建て替えも終わり、札幌は俺がいなくても確かに時を刻んでいた。 父と時を同じくし、手稲曙の新居に到着。 今までは母方の親戚を転々としてきたが、俺が高一になった事もあり父が用意してくれた。 といってもお手伝いさんがご飯と掃除には来てくれる。 乳飲み子と言われても仕方ないわけで。 が、あずましく、気兼ねなく生活できる事に喜びを感じていた。 やっと着いた、、 移動による疲れが濃く、ベットに沈みたい気持ちもあった。 だが、どうしても今、親友の須藤哲哉に会いたくなって、俺は着くや否や駆け出していた。 そんなに近いわけではないが、俺はかなり全速力でここまできた。 19時半ともなると夕食時か、、失礼になるかとも思ったが、そんな間柄じゃない。 俺は緊張の面持ちでチャイムを鳴らす。 『ピンポーン』 が、誰も出て来なかった。 よく見れば、居間に電気もついてはいない。 もうすぐ帰ってくるだろうと、玄関の階段のところにうずくまった。 よもやこんな展開になると思っていなかった為、時計も持ってはいない。 無論、携帯などあるはずもなく。 俺はひたすら待ち続けた。 そろそろ帰ろうかと思ってた矢先、自転車の音がした。 やっと帰ってきたな。 俺はちょっと恥ずかしく、第一声は何にしようかな?と考えていたのだが、帰ってきたのは弟くんだった。 慶太「うっそ?ノブくん」 俺「おかえり」 慶太「うわ〜本物だ。兄貴に会いにきたんでしょ? ゴメン、今陸上部の合宿中でさ〜富山行ってるんだよね」 俺「そっか」 慶太は今時にしては珍しく、人懐っこく、俺にとっても弟的存在であった。 俺「じゃあまた来るわ〜」 慶太「ちょい待ち。せっかくなんだし上がって行きなよ」 やっぱ慶太可愛いなと思いつつ、階段を昇る。 慶太の部屋は相変わらずぐちゃぐちゃで、でも居心地は良かった。 苫小牧での日々とか哲哉の事、慶太の恋愛、話題は尽きる事がなかった。 そして、お母さんが帰ってきた。 毎度の事ながらご馳走になった。 夕食を食べながら、引越しを手伝ってもらったお礼や近況などを報告。 俺は哲哉の母さんと話すたびに自分の母の様な不思議な感覚があった。 俺の境遇のせいだけだろうか?多分俺の中での母の理想像だった、が近い気がする。 そろそろ、おいとましようかと思っていたら、泊まっていきなさい、と言ってくれた。 正直、俺も家に帰るのが面倒くさく感じていたので、というより眠かったので素直に甘えた。 はしゃいだのは慶太。 「やったね、じゃあいっぱい遊べるじゃん」 子供は素直でいい、と言っても年子で中3だから、こいつは特別か。 ゲームをしていたら、いつの間にか重なって眠りに落ちていた。 お待たせしました。 物語始まったばかりですので、序破急の序(導入部分)がしばらく続きますが、ぜひ飽きるまで見てやって下さい。 |
| 待ってましたよ!! ぜひ最後まで読ませてください。 この体験談好きです。 |
| 目が覚めると慶太が俺に寄りかかっていた。 俺はほっぺたをつねってみる。 うんにゃ、うんにゃ言っている。 少し前までは一緒に寝てたら、すごく触ってみたいとか、見たいなんて思ってたけど、今はそんな気は起きない。 やっぱ人を好きになるってすごい事だな、と遅ればせながらに感じた。 でも、その姿があまりにも愛しかったので、もっと接近して二度寝した。 起きると、慶太の「おはよ」が待っていて、なんか懐かしく思えた。 俺は、ずうずうしく朝食もご馳走になってしまった。 そこで、朝食のお礼に何か手伝えないかな〜と思い、母さんに聞いてみた。 すると、庭の草が伸びてきたとの事。 俺は食後、すぐ草むしりに取りかかった。 この日は朝から25℃を超えていた。 ジリジリと夏の日差しが肌に突き刺さる。 「暑くなってきたし、その辺で終わりにしなさいね」 と言われたが、最後まできちんとやり通した。 「ご苦労さま」と言って出されたキンキンの麦茶が体に染み渡る。 「ありがとうね」 俺はこの一言が聞きたかったに違いない。 夏の日のごくありふれた光景であった。 俺が家に着いたのは16時。 特にやる事もなく家でのんびりしていた。 18時になったので、言われた通りTVを付けてみる。 すると、、父の姿があった。 父「本日は弊社の合同記者会見にお集まり頂き、厚く御礼申し上げます」 始まりは淡々としていた。 父「全日航の再建についてですが、 これは我々の本来業務は何なのか、という一言に集約されます。 収支が73%増となっている通り、航空輸送事業に専念する事。 ホテル事業の失態。大同少異の不透明な子会社、孫会社の存在。 グループとして損失が拡大する事態を避け、航空運送事業主として、責任の持てる安全運航体制確立のため、機材・人材を集中させることなのです。 また、バブル期の実体経済とかけ離れた資本投資。 私は2年で全ての不採算事業を廃止、撤退致します。 また、全日航本体として公益性を維持できる安定した輸送力を確保すること。 需要の高い路線についてはボーイング777を積極展開致します。 傾斜的集中。メリハリのある経営を目指します。 はじめに戻りますが、競争が激しくなる今こそ、本来業務である安全・品質の向上が必要なのです。 安全運航と輸送力これに尽きると。 お客様に絶対の安心と快適さを提供できる、これが本来のAJAなのです」 パーフェクト。百戦練磨はダテじゃなかった。 時折、見せる冷笑が格の違いを物語っていた。 父「私の仕事はただ一つ。 for the world すべてのお客様の利便に資するという事だけです。 私は一生を賭して、この誰も成し遂げる事のできない山の頂に到達してみせる。 すぐ目の前に世界が繋がっている、という実感を味わえる未来。 私は皆様にお約束致します」 圧巻だった。誰もが言葉を失っていた。 公式の場の父は俺の想像の全てを超越していた、、 改めて父の偉大さを喰らった感じであった。 それに比べ自分は、、劣等感に苛まれていた。 この記者会見の数日後、苫小牧の祖父(父の父)が亡くなった。 暑い暑いジメジメと湿った、何の変哲もないアンニュイの昼下がりであった。 |
| 俺の目前では葬式が誠しめやかに執り行われていた。 参列者の多さが祖父の人間性を表していた。 最後まで泣き声が止む事はなかった。 だが、俺には全くヒトゴトのようで。 ただただ呆けていた。 おそらく、俺はこんな事を考えていたんだと思う。 それは初めて人の死に触れた瞬間だったから、、 母は夭折。面影一つ思い出せない。 こんなにもあっけないなんて、、 人はいつか死ぬ、当たり前の事だけれども俺の中にソレは存在しなかった。 祖父とはもちろん苫小牧で一緒に生活をしていた。 車椅子には乗っていたが、体の調子が悪いなんて事はなかったはずだ。 むしろ健康そのもので。 祖父はおおらかで、気立てのいい方だった。 それに聡明であった。 俺は問題集を解いていて分からない箇所があるとよく聞きに行ったが、全て答えてくれた。 将棋は飛車角金落ちでも、俺に悠々と勝ってしまうし。 なんといっても、機知に富み含蓄のある話は、俺にほんのちょっぴりの深みを与えてくれた。 つい数日まで一緒に生活していた 元気だった 明るかった よくしゃべっていた 散歩に行った TVを見た いっぱい話した かわいがってくれた 俺には信じられなかった。 ビックリもしない、悲しくもない、涙も出ない、 ただただ、遠い世界の出来事だった、、 いよいよ最後の別れ。 棺の中の祖父を見た。 棺の中の祖父はなんだか窮屈そうで、なんだか悲しそうだった。 そして、棺にくぎが入る。 静かな火葬場に乾いた感じのくぎを打つ音が響く。 コンカンカン。 どっと泣き声があがる。 シクシクでなく、アァッハ〜ハウッ、ハァ〜ア、ハウッハハ、ウゥ、ウゥ。 また、 コンカンカン。 耳障りな音。不快な刻み。 その一定のリズムは同時に俺の中心を突き続ける。 胸が張り裂けそうだ。気持ちが悪い。 それでも俺は受け入れられなかった。 リアルではなかった。 昔、死ぬという事を考えて、泣いて泣いて眠れない事があったが、 そっちのほうがよっぽど死に近かった。 最後まで俺は蚊帳の外だった、、 葬式は長兄が取り仕切り、そつなく終了した。 うちの殿下は喪主はおろか、こんな時ですら戻っては来なかった。 親の死に目にも会えない。 後悔して欲しかった。 一生後悔して欲しかった。 俺は許せなかった。 苫小牧には涙雨が降り注ぐ。 俺は3〜4日滞在したがタカヤに会わなかった。 ジュン達にも。 理由は、俺が『カッコ良くなって』『大人になって』会おうと自分に誓ったからだ。 もっともっと『いい』男になる、みんなから羨ましがられる男になる。 タカヤが『こんなすごいヤツに好かれてたんだ』って、 誇りに思ってもらえるよう頑張ろうと。 ただそれよりも大きかったのはやはり祖父の死だったが。 札幌に戻った。 結局、夏休みに須藤哲哉や佐藤達に会う事はなかった。 何をしていたかというと、基本は予備校で、帰宅すると特にする事もないという寂しい日々を送っていた。 そして、ようやく新学期新生活。 2度目の手稲一高が始まる。 どことなく不安で、どことなく恥ずかしく、だけどうれしい。 この頃には、祖父の死も、南洋もずいぶん俺の中では虚ろになっていた。 俺はようやく自分の考えた進路に、道標に帆を合わせた。 |
| 俺は久しぶりにブレザーに袖を通す。 クリーニング済みのパリパリだった。 中学の時もブレザーだったから、南洋の学ランが新鮮で、お気に入りだった。 タカヤの学ランはほんとカッコ良かったっけ。 学ランのメリットは着崩しが利く事。 前ボタンを2つくらい開けてもいいし、全部取ってもいい。 インナーもセンスが試されるし、幅もある。 だけど、俺はこの一高のブレザーも負けず劣らず大好きだった。 転校する前、俺は1年1組に居た。 俺は1組に戻れると思っていたが、もう既に転入生が加わっていて、定員の足りない8組に入ることになっていた。 それは夏休みの時点ですでに分かっていた。 1組には親友の武田や須藤哲哉がいたから、ちょっと悲しかったが仕方ない。 なにはともあれ、俺はようやく頑張ってきた一高に戻れたのだ。 感慨も一塩だ、、なんて表現じゃなく、努力が報われた気がした。 もっと言えば願い事が叶った。 なんか2回合格を味わったみたいな。 俺はお願いした。 一陽来復。 望むらくは普通の生活を、、『普通』で上等だった。 俺は自転車を漕ぐ。 林に囲まれた一本道を抜けると閑静な学校が現れる。 『手稲一高校』 近くには小樽ドリームビーチ。つまり手稲でも、はずれに位置するわけで。 コンビニもなく交通も不便。 だけど、景観は格別。 次いで、透明な空気感は俺を、生徒を、生き生きにしてくれる。 校風は文武両道を地で行っていた。 合唱団は全国区。体育会系の部活も全道、全国と活躍していて。 進学状況はというと、国公立が3桁を超えていて。 若き名門として名を轟かす。 まぁ札幌帝北や札幌光南、函館ラソールなどには敵わないが、教師生徒の活気に包まれていた。 校則は厳しいと言われているが、少しも苦にならない。 自転車置き場に自転車を置く。鍵を掛ける。 そのまま真っ直ぐ職員室に向かった。 ちょっと震えていたと思う。 怖いとか不安とかではない。 素直に喜びが込みあげてきたのだ。 恥ずかしさもあった。 転校して同じ学校に戻って来た経験のある人なら分かるかもしれない。 学校を歩くという事。 ただそれだけの事なのに、こしょばい気持ちになる。 心が弾む。早く友達を作りたかった。 そして、担任に導かれ教室に足を踏み入れる。 始業式前のHR。 担任「今日は転校生が来ている。苫小牧から来た東伸之くんだ。 知ってる者もいるかも知れないが、2ヶ月前までうちにいた子だ」 俺「初めまして、東伸之です。宜しくお願いします」 俺も手馴れたものだ、、 うん!?えっ、、俺は気づいた。顔見知りがいない。 札幌を転々としてはいたが、大抵どのクラスにも2〜3人は知り合いがいる。 そんな、、 それにやや視線も冷たい気がする、気のせいか? そして、俺は次の瞬間、驚愕する。 新城、新城明がいる、、 まさか、なんで新城が一高にいるんだ!? 俺は一瞬でまっ暗闇に放り出された。 俺に待っていたのは、平穏でも『普通』でもなく、過酷な『罰』だった。 俺は二度母校を奪われ、二度喪失を味わう事になる。 二度絶望の辛酸を舐めさせられる。 ははっ 今の今まで自分の人生がうまくいく、なんて本気で思っていたなんて。 ほんとおめでたくて。 俺は、どこまでいっても、、迂愚だった。。 |
| きっかけは些細な事だったと思う。 給食をこぼしたとか、靴を踏んだとかプリントを破いてしまったとか。 その中のどれか一つだったと。 俺は謝った。そこは覚えている。 許してもらったと思っていたけど、気付いたらそういう事になっていた。 中学1年の11月くらいから2年に上がるまで。 期間にして3ヶ月ちょい。 俺は抵抗しなかった。俺が悪かったから。 雪の解ける頃には痛さも感じなくなっていた。 アザも薄くなっていった。 俺の消したい記憶の一つ。。。 新城とは合わなかった。最初から。 頭の良さのせいか気位が高く、高圧的な態度は父のソレを感じさせる。 苦手というか、萎縮してしまう。 もっと言えば怖い。 俺は結構、怖い人とか怒る人にビビッてしまう。 何も言えなくなってしまう。 体躯もこんなんだし。ケンカも弱っちい。 だからずっと近寄らなかった、れなかった。 うまく立ち回れるよう気を張っていた。 だからそれは一瞬の緩みだった訳で、、 さて俺はというと、先生の隣で青くなっていた。 頭の中には新城の事しかなかった。 あいつはAランク。俺はDランク。 同じ学校なんて絶対ありえない。 なんの冗談だろう。1位でも取って一高生をバカにしたいだけなのか、、 俺は思い出したくないことまで蘇ってきた。 無事で済むはずはない、と確信していた。 始業式が終わり、教室に戻る。 教室はすごい賑やかだ。 正直、うるさいぐらいで。 一人取り残されていた。 俺はこれから孤独に苛まれることになる。 まだまだ始まったばかりなのだ。 次の日、俺はクラスの皆に積極的に話しかけていった。 南洋の時の落ち着きぶりは全くなかった。 ハッキリ言って、今までこんなに必死になった事はない。 察していた。 この雰囲気で『暗いヤツ』のレッテルを貼られたら絶対にマズイ。 俺は中でも、特に大人しそうで、性格の良さそうな子に話しかける様にした。 だが、会話が続かない。 途切れ途切れになってしまって。 すぐ別の友達の所に行ってしまう。 そもそも何を話せばいいのかも思いつかない。 それでも頑張っていた。 焦っていた。 とうとう俺は、クラスから省かれてしまった。 相手にされなかった、、というより興味を持たれなかった。 理由は様々だと思う。 まず、クラスが遠足、体育祭や学校祭などの行事を通して一つになっていた事。 1日8時間、これまでの間ずっと生活してきているという既成事実。 クラスの輪が完璧に出来上がっている。 俺は完全に『よそ者』だったに違いない。 次に、元手稲一高生という事。 俺から見たってこれは違和感がある。 2ヶ月で元の学校に戻ってくる。しかも、入学式から数えて4ヶ月。 どう考えてもおかしい。 いや、もし俺がきちんと仲良くなっていたら、それも笑い話で済んだ筈だ。 微妙に歯車がずれていた。 あとは、いろいろなヤツに話かけすぎて、 『誰と仲良くしたいんだ?』と思われたのかも知れない。 すべて、裏目裏目に出てしまったのだ。 俺の言葉で言えば『目立ち過ぎて』しまった。 圧倒的な疎外が待ち受けていた。 昼食を取る。一人だ。 何が嫌かって、みんな席を移動し、合体させグループで食べているのに、一人自分の席で食べる。 しかも、やや中央よりでポツンとしている。 話しかけられたと思ったら 「ごめん席替わってくれる?俺の席使っていいから」 そして、窓際の一番前の方に追いやられて。 後ろだと気にならないが、前だとみんなから見られている様な気がして嫌だった。 俺も1組に戻ってご飯を食べれば良かったのかも知れない。 だけどソレをしたら余計、立場がなくなるような気がして。 それと、1組にしても俺は『よそ者』に感じられるだろう。 どの顔をして行けばいいのか分からなかったし、武田・須藤にも違う友達がいるだろうし。気を使わせるのはダメだ。 俺は程なく空気になってしまった。 そんな中でも、唯一俺に声をかけてくる奇特なヤツがいた。 野口恭平。俺は好きではなかった。空気の分際ながら。 なんか馴れ馴れしい気がした。 居ても居なくてもいいヤツにそんな事思われる筋合いないだろうけど。 野口「おはよう、チビ。調子はどうだ?」 俺「、、」 野口「うわ、お前なんかしゃべんないとホント嫌われんぞ?」 俺は睨んだ。 野口「冗談だし。睨むなや。もっと明るくしろよ」 と言って背中を「ポン」とはたかれた。 そして、野口は違う友達に挨拶していた。 俺はやっぱ好きになれなかった。 野口はクラスでも人望が厚く、人気があった。 ひょうひょうとしていて、誰に媚びることもなく、自由っぽくて、自然で。 特定のグループに属するのでもなく、クラスが友達って感じで。 バスケ部に所属していて、2〜3年にすごく可愛いがられていた。 いかにもお洒落さんで、爽やかお兄系。女子からモテモテだった。 一方、新城は野口と一緒のバスケ部。 一年ですでにキャプテンシーを発揮していた。 2、3年では誰が権力を持っているのか、きちんと把握していた。 派閥が好きなタイプだと思われる。 見た目はジャンプに掲載している、キラそのもの(知らない方すみません) メガネはアラン・ミクリの天地(眼鏡の枠の上と下)の狭い、細いスクエア。 クラスのまとめ役で、信頼はあるが自分のグループがあった。 自分の嫌いなヤツは態度に表す。顕著だった。 誰かが失敗したり、間違えたりするとすぐ笑いものにした。 顕示欲、自尊心の塊。 そして、新城はとうとう俺で遊び始める。 いつかはと思っていたけど。 次の日、授業に類型選択が取り入れられた。 国公立理系、文系。私立理系、文系。短大、看護。選択授業のない総合類型。 専学、公務員、就職などに分かれる。 クラス分けは2年からだが、移動教室の授業が入る。 ほとんどはまだ共通だが。 助かったのは新城が国公立理系で、俺が文型だった事。 それに須藤も同じ教科の部分がある。 もう一つ良かった事、間もなく体験する事ができるのだが。 俺にとって唯一の楽しみになっていくのだった。 重い内容で、さらに長くなってしまい、すみませんでした。 こんなに長くなるとは、、すみません。 |
| いつも読んでますよ。文章上手ですね。楽しみにしてます。 |
| 邂逅。きっとそんな言葉がふさわしい。 運命。それは確かに遠い未来でつながっていた。 次の日の2つ目の選択授業は『政治・経済』 歴史が好きではなかったのだ。 教室は視聴覚室。 俺は階段を昇り、視聴覚室に向かう。 その途中で肩を叩かれた。 俺は新城だと思っていたから、気づかないフリをして構わず進んでいった。 さらにもう一回。今度ばかりはしつこいと感じた。 教室に入る手前で、真後ろから「ノブっ」と呼ばれた。 振り返ると親友の須藤哲哉(テツ)だった。 テツ「お前、無視すんなよ」 俺「ごめん」 テツ「家に来たんだって?来てもらったのに悪かったな」 俺「部活頑張ってるんだってね〜」 テツ「まあな」 そして、少し話した。 テツ「お前なんかあった?なんか元気ないぞ」 俺は少しドキッとした。 テツ「さっきだって。普通、すぐ気付くべや」 俺「なんにもないよ」 テツ「ならいいけど。なんか有ったらすぐ言えよ。親友なんだし」 親友っていう言葉が胸に響いた。 俺「ホント大丈夫だから、今度遊ぼ〜ね」 と言って教室に入った。 黒板によると座席は決まっていないそうで。 俺は目が悪かった(眼鏡が嫌い)ので、前の席に座った。 とりあえず、教科書などをパラパラとめくっていた。 チャイムが鳴る。 同時にいろんなクラスのヤツが、どっとなだれ込んできた。 そして、俺の隣の席にも人が座ろうとしていた。 「隣いい?」 俺「どうぞ」 今まで、見たこともない人だった。 それよりも、この人香水付けている、、 それもベビードール、、タカヤと同じだ。 相変わらず、甘くいい匂いで、、 少し思い出してしまった。 俺はどんな人かとチラッと横を見た。 授業を聞いている、といった感じにはあんまり見えなかった。 前は見ていたが、先生の方を見ている訳でもなさそうだ。 少しすると、うとうとしていた。 真面目そうに見えるのに、この人度胸あるな〜と感心していた。 移動教室が終わると共通授業だ。 一気に気が重くなる。特に合間の休み時間。 ほら、また来た、、 もう高校にもなると肉体的なモノはないが、より陰湿になっていく。 漫画の中のパシリ。ジュース買って来いとか。 あんなの嘘だ、なんて思っていたけど、、 中学の時は新城1人だったが、今は新城のパーティで遊ばれていた。 中でもひどかった事は、 新城「髪伸びてきたね、東くん。君カワイイからさ、短い方が似合うよ。 おい、俊彦ハサミ貸せや。なんでもいい。ぐずぐずすんな早くしろや。 東くん、じゃあ切ってあげるからね」 俺はキレイに前髪を伸ばして矯正も入れていたので、 こればっかりは必死で抵抗した。 新城「危ないから暴れないでね。 手元が狂って、キレイな顔に傷がついちゃうよ」 俺は血の気がサァーと引いた。 新城「いい子だね、東くん。心配しなくていいからさ。じゅあいくよ」 マジかよ、、 アシメに入れていた、左の長い方の前髪だけがバッサリ切り落とされた。 俺の左髪が床に横たわる、、 それを見て、新城が一行が、クラスメートが笑っている。 異常だ。狂ってる。 俺は目の前が真っ白になって、吐き気をもよおし、逃げるように家に駆け出していた。 ベットに倒れると、地震があったのかのように、体が揺れていて頭がグルグル回っていた。 時間が経ってもそれが一向に収まらない。 気持ち悪くて、気持ち悪くて。 吐きそうで、吐けなくて。 寒気がして。だるくて。 俺は2日間、学校を休んだ。 髪を揃えてもらって、何とか学校に行った。 流石にやりすぎと気付いたのか、新城は何もしてこなかった。 それと見ていた女子が、大丈夫?と声を掛けてくれた。 大丈夫だから、ありがとね、と答えた。 だが、新城から嫌われている、とみんな悟ったのだろう。 もう誰も視線すら合わせようとはしなかった。 もう精神的にも参っていた。 家に帰ると疲れでひたすら寝ていた。 そんな折、郵便物が届いた。 差出人はタカヤだった。 中身は南洋の遠足、体育祭、学校祭の写真と学校祭の文集。 みんなの文集は読んでいて楽しかった。 なんか遠い昔の事のようで。 俺は『昔』は幸せだったんだと思った。 不幸な時に幸せの時のことを考える事が何より辛い。 あとはタカヤの手紙が入っていた。 内容はまず、俺の手紙を読んだ事。 そしてうれしかった事。 俺の頑張ってる姿を見て、応援したくなったという事。 俺がいなくなって、クラスに少し明るさが足りなく感じる事があるという事。 そして、 「告白されると思っていなかった。 だからすごく驚いた。 だけど伸之は震えていて、声が上擦っていて、こいつ真剣なんだと分かった。 だから俺も全力で答えた。 アレ、俺の本音だから。 今だから言うけど、伸之を見た時小さくて細くて大丈夫か、と思っていた。 だけど、その小さい体にはすごいガッツが溢れてて、そして熱くて、 気が付いたら、みんな伸之に巻き込まれていた。 伸之、君はすごいヤツなんだぜ。 俺はこっちでみんなと思い出作る。だから伸之もそっちで俺たちみたいに 楽しさ分けてやれ。君ならできる。 最後に、、俺は伸之が大好きです。 だからいつかまた会おう、待ってる」 違うんだ、タカヤ。 俺はタカヤが思っているようなヤツじゃないんだ。 ゴメン。俺は本当に情けないヤツで、嫌われていて。 つまんないヤツで。 俺は自分の弱さに、あまりにも情けなくて泣いてしまった。 同時に俺は父を呪った。いままでとは違った。父が憎い。 一高を奪い、南洋を奪った父が。 その晩、初めてこの家に父が帰ってきた。 俺はもう父にぶつけるしかないと思った。 この前の葬式の事もあったし。 恥ずかしいとか言っていられる場合じゃない。 もう限界を超えていた。 俺「ずいぶん、お忙しい様ですね。 葬式もいらっしゃらなかったぐらいですからね。 ひょっとして、またお出かけですか? ゆっくりしていけばいいじゃないですか、せっかくお戻りになられたのですから」 父「じゃまだ。お遊戯をしている暇(いとま)はないんでな」 俺は一蹴された。父は歯牙にもかけなかった。 もう笑うしかなかった。 俺はなんの為に苫小牧に行ったのだろう。 というより、父はそもそも何を目論んでいたのだろう。 最初は母の親戚との確執だと思っていた。 次に取材が来ていたので、『父を介護するAJA社長』という画を撮りたかったのかと思っていた。 そして今は、父の祖父に対する最後の親孝行だと思っているが。 しっくりこない。何かが違う。違和感がある。 何かを見過ごしているようなそんな気配。 だが、今はそんな事どうでもよかった。 というよりも、俺の中では既にもう全部どうでもよくなっていた、、 |
| 生理的に受け付けない。 新城は俺にそんな思いを抱いていたに違いない。 理由がなく気に入らない。 俺が新城にした事はきっかけであって、理由ではない。 こういう事って意外と多いのかもしれない。 一週間もするとまた俺はオモチャになっていた。 俺はさらにもう一つ大きな問題があった。 勉強面についてだけれども。 俺は絶対、コツコツ努力型の人間だ。 他の人よりも覚えが悪い分、時間をかけなければならない。 ところが、一高は南洋の授業1.5倍くらいのスピードで進む。 およそページ数にして20ぐらい。 ついていくのがやっと。一高は俺にとっては敷居が高いらしい。 俺は毎日が一杯一杯で、『試練のるつぼ』の中にいた。 そんな中でも俺に唯一の楽しみが生まれる。 そう『政治・経済』の時間だ。 今日は2回目の授業で、ふとあの『居眠りクン』が気になった。 まだ名前も知らないし、そんなに顔も見ていない。 分かっているのは香水がベビードールだという事。 そして授業をあんまり聞いていないという事だ。 残念、今日は俺の2つ後ろの席に座ってしまった。 俺の隣には別の人が座る。 俺は時間を見る振りをして、後ろを振り返る。 今日も変わらず、すやすやしている。 結局、顔も名前も分からずじまいだった。 ところが次の選択授業『生物I』も居眠りクンと被っていた。 俺と同じ国公立文型なのだろう。 というのも国公立理系ならウチの場合、科学か物理なわけで(数III、数Cとの兼ね合いから) 私立文系なら日本史を履修する。 俺は話す事ぐらいはできないのかな?と思っていた。 この生物の先生の特徴は、生徒に回答させるという所にある。 分かったのは、居眠りクンの名前が『工藤』君だという事。 でも彼はやっぱり、寝ていた。 9月某日、中間テスト。 俺は授業には遅れながらも、なんとか試験範囲に追い付き、事なきを得た。 順位は100番台を少し切っていた。 まずまずだ。 でも夜中まで寝ないで勉強してこれか、と少し悲しくなった。 ウチの学校は成績優秀者の30位までを教室の前に張り出す、ちょっと古い学校だった。(南洋もそうだったけど) 1位は新城だろう。あんなひどい事をやっていても、先生方からの評価は高く。 不条理だ、、 だが、見ると1位は新城ではなかった。 そこにはあの居眠りクンの名前があった。 他に工藤って苗字がいなければだけど。 げっ、あんなに寝てるのに。 しかも5教科481点、、こっちの方が俺には不条理だったかもしれない。 俺の知ってる人で30位以内は、10点差の2位で新城と中学の時の佐藤とウチの野口、女子の土田だった。 俺は英語が97点で科目1位だったが、生物の58点が響いた。範囲が広すぎのた。 それは措いといて、工藤クンの下の名前は『進英』 読み方を知ったのはずっと後の事であった。 中間も終わり少しほっとした。 工藤クンはどうやら7組の生徒のようで。 7組には俺の佐藤光則(ミツ)がいた。 俺「ミツさ〜工藤って知ってる?」 ミツ「ウチのクラスのでしょ、なんで?」 俺「あの人学年1位なんだってね。どんな人?」 ミツ「どんなって、、あんま話したトキないし、てか誰かとしゃべってるの見た事ないわ。大人しいし」 俺「なる〜」 ミツ「最初、誰かが話しかけてたらしいけど、結構、性格キツイらしいよ。 やっぱ頭いいヤツってやなヤツ多いかもな〜」 俺「ミツも性格悪いしね」 ミツ「お前な〜」 俺「嘘だよ、嘘。冗談。ありがとね」 ミツ「おう!」 そっか性格キツイのか、仲良くなるのは無理かな。。 次の日の選択授業。 珍しく、俺より先に工藤クンは席に着いていた。 俺はちゃんと顔とか見た事がなかったから、チャンスと思って前の方から見てみた。 顔はいい。美男子、というよりも特徴のある顔つきだった。 俺は最近思ったのが、パッと見、『昔の』鳥羽ジュンが近いなと。 二重が重く、クリっではなくキリっとした目。 あのどことなく色っぽい唇。 そして独特の色気。 俺は特に後ろ髪がオシャレだな、と思っていた。 素直にカッコ良いと思ったが、 多分話したりする事は無理だろうと半ば諦めていた。 この日以来、俺は工藤クンのすぐ斜め後ろぐらいに座る事にした。 それから、1ヶ月ぐらいが過ぎようとしていた。 10月も中旬。 普通なら、どこの学校もこの辺から宿泊旅行が始まるが、一高は6月に終えている為、俺に宿泊旅行は訪れなかった。 今の俺の環境では必要ない。というより救われた。 嫌な思い出なんか作りたくないから、、 まだ、俺への嫌がらせが続いていた。 飽きもせず。 人は自分より弱いものを苛めて、自分を(精神的に)守ると言われるが、、 この日はジャージを隠されたので、必死に探していた。 掃除用具箱に入っていた。 まぁどっか遠くまで持っていかれたわけじゃないし、濡らされたわけでもない。 よしとしよう。 だが後ろではそんな俺の一部始終を見ているヤツがいた。 野口だ。 野口「ふ〜んチビはいじめられてんだ」 俺「、、」 野口「で、誰に?」 俺「野口くんには関係ないし」 野口「新城か」 俺「、、」 野口「俺も休み時間とか、よく2、3年の所行ってるから、 たまに見てる限りではじゃれあいに見えた。 じゃあ髪切られたのもそうなんだな。なんで先生に言わんの?」 俺「、、」 野口「まぁいいや。それよりチビさぁ、工藤の事好きだろ?」 はっ?なんで? 俺そんな事言ってないし。バレるはずないと確信していた。 それに、特に工藤クンを見る時はより一層警戒している。 俺は動揺してはいけないと思い、 俺「意味わかんないし」と答えた。 野口「お前さ、政経の時、いっつも後ろに座ってるじゃん。 あれすっげー気になってたんだよね」 俺「そんな事考えて座った事ないし、たまたまじゃない?」 俺は実際内心焦りまくっていた。 野口「教室の席換えの時は『手』挙げてまで前に座るヤツが、 メガネまで掛けてな。で、よく見たら位置を確認してから、 工藤の席の後ろぐらいに座るじゃん。右側のね。アレ見て分かった」 俺はもう言い逃れできなかった。 うかつだった。それでも抵抗しようと試みた。 俺「それ知ってどうすんの?脅す? バラされたら本当に困るけど、もう嫌われてるからさ。 お金はごめんあんま持ってない」 野口「お前なぁ。なんでそうなる?」 俺「なんでって、意味わかんない」 野口「友達になろう」 俺「はっ?もっとわかんない。俺に興味あるって事?ごめん無理だし」 そういうと野口は大きな声で笑った。 野口「あははっ。お前って意外と面白いな。俺、彼女いるし」 要約するとこうらしい。 俺はいつも一人でいる。すごく寂しそうだと。 そして、俺が工藤クンを見ているのを見て、なんとなく手助けしたいと思った、との事。 なにより、背の小ささからか、弟の様な放って置けないモノがあると言っていた。 それと、 野口「お前さ、いつだったか、風で自転車が倒れていた時、 自分のだけじゃなく、近くの倒れていた自転車も起こしてただろう。 あの中に俺の自転車があったんだよ。 それ見て、こいついいヤツだなって思った。 掃除もみんな適当にやってるのにお前だはちゃんとやってるし。 ホントは工藤の事は言うつもりなかったけど、じゃないと終わってたから。 ゴメン」 俺は少し事情が飲み込めた。 俺「そっか俺もひどい事言ってごめん。 だけど、俺とは仲良くしない方がいいと思うよ。 野口くんまで、嫌われたらヤダし」 野口「俺はそれでもいいけど」と言ってくれた。 俺「だめだよ、それは」と言うと、 野口はちょっと来て、と連れられた。 それは体育館だった。 野口「新城、ちょっとこお」 新城「なによ、なんか用」 この二人あまり仲が良くないようで、、 そして、隣の用具室に入って行った。 俺は何が起こるんだろうと思いつつ、ただ見守っていた。 野口「新城さ、東イジメてるんだって?」 げっ、野口なに言っちゃってんの? 新城「何ソレ?人聞き悪い事言わんでくれる? 一応、バスケ部の次期キャプテンなんだけど、聞かれたらまずいっしょ?」 野口「とぼけんなよな。まぁいいか。 今後、こいつに手出すなよ。東は俺の友達なんだ」 新城「こんなキモイ奴と友達ねぇ。止めた方がいいと思うけどな。 それより、お前よ俺に偉そうに指図すんな。俺の勝手だろうが」 野口「お前もバスケ部で同じ目に遭わせてやろうか?」 この言葉に新城がキレた。 新城「てめぇよ。ちょい2、3年に可愛がられてるっからって いい気になるなよな。てめえマジムカつくよ。わかってんのか、オイ」 俺はホント怖かった。 だが、野口は「熱くなるなよ。キャプテン。 例えばの話しだから。 だけど、お前も立場上まずいんでない?俺とケンカすんのは。 お互い表面上だけでも仲良いフリしてないとね。頭良いお前なら分かるよな」 それだけ言い残し、体育館を出た。 その後、一緒に自転車で帰った。 途中、ロッテリアに寄ってしゃべっていた。 俺は野口が心配だった。嫌われたりしないだろうか。 だが、それも杞憂に終わる。 やっぱこいつ良いヤツなんだ。みんなから好かれている。 でも、俺はやっぱ学校では話すのを止めようと釘を刺しておいた。 この日から、ノブユキ、きょーヘーで呼び合うようになった。 応援ありがとうございます。すごく励みになります。 でも、全然進みません。今回も長くなってしましました。 本当にすみません。 ただ次回でかなり進むと思いますので、飽きていなければ、これからもぜひ見てやってください。 |
| 面白いです!!(★・ω・) |
| 第一印象があまり良くないヤツほどより親しくなれる。 これは往々にしてある事だ。 マイナスから始まると0ですら、プラスに位置する。 俺は、野口が新城から助けてくれたから、友達になろうと思ったわけじゃない。 『友達になろう』って言ってくれたからなんだ。 俺はゲイで、と言っても認めたくはないけど、そんな俺に軽蔑するわけでもなく、嫌悪するわけでもなく、見守ろうとしてくれる、親しくしてくれる。 そんな事ってありうるのだろうか。 よく考えるとすごくすごく有り難い事な訳で。 俺は野口を大切にしようと思った。 絶対、友情を裏切る事はしない。固く誓った。 次の日から、新城が俺に近づく事はなかった。 だけど、視線がたまに合うとすごい形相で睨まれる。 それに、そんな俺たちの空気を見てか、さらにクラスのみんなとの距離は遠くなったような気がする。 いや、実際そうだ。が、ストレスは大分軽減された。 それに俺はいい、って言ってたのに、恭平は学校にいる時も話しかけてくれた。 全然、全然救われた。 恭平が部活のない時は、ほとんど一緒に帰宅した。 そして何でも話した。 テツとか武田(ケイスケ)とかミツに言えない事が恭平には言えるのだ。 俺はずいぶん軽くなった気がした。 やっぱりゲイという事はこの年頃には荷がかち過ぎるのだ。 普段は気にも留めない事が不安になったり。 結婚だったり、子供だったり、老後だったり、Hだったり(笑) でも俺は救われた。 恭平もよく自分の話しをしてくれた。 すごい大人な部分とピュアな部分が同居していて。 なんといっても『自由』を感じた。 既成概念や枠に囚われない発想だったり、誰にも縛られない、干渉されない、 流されない。強さを感じた。『自由の中の不自由』 俺は自分の弱さを知った。『不自由の中の自由』 野口は尊敬できる存在でもあった。 ふとある時、野口が言った言葉が気になった。 「工藤の事が好きだろ?」 俺は工藤クンの事が好きなんだろうか。 確かに気になってはいるし、ドキドキもする。 カッコいいとも思う。 でもタカヤの時と比べると、居ても立ってもいられないという、あの胸が締めつけられる感はない。 そもそも割合は薄くなっているが、確かにタカヤは俺の内(なか)にいた。 俺自身好きかどうかに疑問符がついた。 何回目の政経だっただろうか。 隣に工藤クンが座った事があった。 そして俺は、自分の中にある勇気を一部振り絞って話しかけた。 最近、積極性に目覚めたなと我ながら感心した。 俺「工藤クンだよね」 工藤「あぁ」 俺「8組の東伸之っていいます。」 工藤「、、」 俺「いきなりごめんね。ちょっと話したかったんだ。 工藤クンってさ〜この前、中間で1位だったんだよね。すごいね〜」 工藤「1学期の中間と期末もだけど」 う、、ちょっと気まずかった。 俺「ごめん。じゃあずっと1位?すごいね。俺なんか100番がやっとだし」 工藤「、、」 俺「俺の事なんてどうでもい、、」キンコンカンコン。 チャイムが鳴り、ネルトン(ネルトン紅鯨団)も終了。 次回に繋がらない展開に、俺は自分に『バカぁ』と一言突っ込んだ。 そして、これ以降1年では話す機会はなかった。 声はややハスキーなんだよな。 目はあの重たそうな二重がいい。 タカヤみたいにすっきりしたのもいいけど、工藤クンのアクの強いのもいい。 なんてバカな事を考えていた。 次の授業で、俺の席の隣に座ってくれるかな?という淡い期待も抱いていたが、そんなに都合よくいくわけもなく、何の進展もないまま季節が移ろうとしていた。冬。 今年はいつになく大雪で、しばしばバスやJRが遅れた。 予備校に行くのも一苦労だ。 ようやく、一高のペースにも慣れた、が一日も勉強は欠かさなかった。 ほぼ、クラスの位置取りも変わらないし、日常っちゃ日常。 そんな代わり映えのしない毎日。 行事も予餞会(卒業生を祝う会)の他は何も残ってはいなかった。 そんな時、あるイベントに招待される運びになった。 『2月9日(日)月寒体育館 アイスホッケージュニアリーグ・ノース・ディヴィジョン 札幌ポラルズvs苫小牧玉子油紙』 聞くとケイスケの友達がポラルズにいるという。 チケット料なんてあってないようなもんで、俺は久しぶりにケイスケ・テツ・ミツ達と一緒に行動した。 俺はちょっと興奮気味で(実はプロレスとかのライブが好き)鼻を荒くしていた。 指定席は完売。自由席での観覧だった。 ケイスケは友達に手を振ってもらっていた。なんかうらやましい。 その時、テツが何かに気付く。 テツ「あれって、うちの工藤じゃね?」 俺はとっさにその一言に反応し、身を乗り出した。 工藤クンだった。 ゼッケン9番。見ただけでFWだと分かる。 ミツ「ホントだ。あいつホッケーやってたんだ」 ケイスケ「そっかお前ら知らなかったんだ。てか俺も最近知った」 他の人が練習したり、滑ったりしている最中、工藤クンは向こうのチームの人とも話をしていた。 知り合い多いのかな? ホイッスルが鳴る。 始まるや否や、玉子油紙のすごい猛攻が押し寄せる。 ポラルズは防戦一方。まずい、、 実はただチームがカウンターの戦術を採っていただけだったんだけど、、 会場はすごい熱気に包まれていた。声援がすごい。 といっても全てといっていいほど、玉子油紙への応援なのだ。 でも、ポラルズも応援以外は負けてはいない。 俺たちも必死で応援した。 そして、開始から10分。 11番の絶妙なバックパスを受けた工藤クンがロングショットを放つ。 決まった!やった〜先制点だ! 俺たちは体の底から熱くなるモノを感じた。 工藤クンの颯爽とリンクを駆ける姿はまさしく『氷上の貴公子』といった感じ。 学校では見ることのできないその姿に、俺はときめきを感じた。 途中、工藤クンは王子油紙のパワープレーを喰らってはいたが、物怖じせずじっとゴールだけ見据えていた。見ていて震えた。 試合の方は、というと一進一退のシーソーゲーム。 第3ゲームが始まってもそれは変わらなかった。 その後、延長戦へ突入。『サドンデス』 サッカーのVゴール方式だから、1点取られたらそれでお仕舞い。 俺は、俺たちは固唾を飲んでその場を見守っていた。 会場にピーンと糸が張る。 そして、、、 ポラリスの10番センターの矢代さんがすっーと抜けショット。 はいれ!! ゴォ〜〜〜ル!! うわ〜やった!やった!勝ったんだ。 延長戦の最初の方でぺナルティ取られた時はもうダメだ、と思っていたけど。 目をつぶっていたしひたすら、はずせ!!って祈ってた。 なんか自分のチームの事のようにみんな喜んでたっけ。 向こうの観客は茫然自失。文字通り氷ついていた。 俺たちは意気揚々と会場を跡にした。 ミーティングが終わった後、ケイスケの友達が合流した。 夕食を一緒にする。 練習の事、試合の事、今までの事いろいろ話した。 それと、 ケイスケ「ユッケのチームに工藤っている?」 ナイス、俺はそれが聞きたかった。 ユッケ「あぁ『ノブヒデ』でしょ。そっか一高だっけ。 俺と中学一緒だったんだぜ。 頭いいし絶対、帝北行くと思ってたんだけど」 テツ「どんなヤツ?」 ユッケ「大人しいよ。試合中はメチャクチャ声出すけどな。 俺はあいつと仲良いからね。結構話すんだけど、、 あんま本人の事べらべら喋るのは良くないから、お前ら特別な。 誰にも言うなよ」 俺たちは「うん」と約束した。興味深々だった。 ユッケ「じゃあ言うけど、あいつ元苫小牧の明川中学出身なんだよ。 で、勿論ホッケーやっていて、しかもあいつ上手いだろう。 キャプテンだったって。しかも、そのチーム全国で優勝してんだぜ。 あと、これは他のヤツから聞いたんだけど、 当時めちゃくちゃ上からも下からも慕われていて、 すごく明るかったんだとさ」 俺「それで?」 ユッケ「あぁ、なんでも試合中に怪我したらしく、1月ぐらい静養してたらしい。 で、復帰したんだけど、その後すぐ退部したそうだ」 テツ「なんで?なんで辞めたの?」 ユッケ「さぁな、そこまでは知らね〜。だけど、その後札幌に転校してきてな。 俺と同じクラスだったけど、俺以外とは一切話ししてないはず。 俺だって、ポラルズなかったらしゃべってないし」 俺はそれを聞いて少し嫉妬した。俺も話したい。発想はガキそのものだった。 かといってチームに入るわけにも行かず、、どうしようもなかった。 ユッケの話では、この空白の期間に何かがあったのは明白。 何が工藤クンに有ったんだろう。 俺はすごくすごく、知りたかった。気になってしょうがなかった、、 |
| 沈丁花。春の匂いがそこそこに満ち満ちる。 紅梅、コブシ。白とピンクのコントラスト。チオノドクサ。紫と白のハーモ二。 自然ほど美しい芸術はない。 生命の息吹、躍動、輝かしさ。 俺はこの匂いが好きだ。暖かい。まぶしい。 新入学、新学年、新生活。希望に包まれている。 端には雪がまだまだ積もっている。 だが春の足音が確かにそこまで、、 飛行機雲が春の到来を告げていた。 一高では、新学期の3日前にクラス替えの一覧が教室に張られる。 おそらく俺は5組か6組だろう。これは進路相談の時点で分かっていた。 オレは日をずらして、2日前に見に行く。 混んでる時に行くのはナンセンスだし、なんかいかにも待ってました、というのが嫌だった。 どれどれ、オレは、、6組か。 誰がいるのかな、恭平に土田に新川、、それと、工藤クンだった。 工藤クンと一緒のクラスか。 えっ、、一緒のクラス?マジで!? 一緒のクラスだったらいいなと思っていたが、全然イメージ出来なかった。 オレはうれしすぎた。 新学期が始まる。教室に足を一歩を踏み入れる。 まぁ、ほとんど知らない人だ。と思うと同時に 「おはよう」と恭平。 オレも「おはよっ〜」と返した。 まぁそれでも、新クラスには期待しないようにした。 もう傷つくのはごめんだ。 ところがオレに待っていたのは、この上ない『平穏』だった。 普通にみんなが話しかけてくれる。 なんか嘘みたいで。 どっちがホントなんだろう、1年8組のオレ、今のオレ。 今はただ、この平穏にすがりたかった。 やっと自分の居場所ができた。 自分の場所と言えばもう1つ。 そこは学校に来る途中の一本道。途中、抜け道があって。 さらに進むと草木が茫々、道なき道がある。 その果てにとっておきがあった。 6畳くらいの空間なのだがひんやりとして、荘厳な雰囲気が漂う。 お寺の境内の様な空気感。でも決して嫌ではない。 ここ一部分だけ、木が切り落とされている。 オレはここに来ると切り株に腰を下ろす。そして見上げる。 何本かサクラが混じっていて。 早く咲かないかなと、ひそかに楽しみにしていた。 閑話休題。話を戻すが初日、身体測定も行われた。 身長が6cm伸びていて168cmに。全く気付かなかった。 成長していた。なんか自分を褒めたかった。 友達もいなかったから、伸びたね、なんて言われなかったし。 でも、やっぱオレの思春期ってずれているんだ、とつくづく実感。 恋愛したしな、と思っていた。 一方で、一向に伸びていない部分もあった。 工藤クンとの関係だ。 ホッケーを見るまで、若しくはケイスケから工藤クンの話を聞くまでは、そんなんじゃなかった。 でも、それ以来オレは工藤クンが気になって、気になってしょうがなかった。 全く、会話も接点もない点と点。 だが、ゆっくりと、だが確実に、オレと工藤のストーリーは同じベクトルに向かっていた。 オレは新クラスになってから、毎朝工藤クンに挨拶した。 かなり、そっけない返事が返ってくる。 全く興味ないがと思われ。 たがオレはめげずに続けた。 話しかけられる機会はそれくらいしかなかった。 どのくらい続いただろう。 4月から数えて2ヶ月、3ヶ月くらい経っただろうか。 オレからじゃなくて、向こうから挨拶してきたのだ。 オレは一瞬、戸惑ったが、とびっきりの笑顔で「おはよ〜」と言った。 別に会話があったわけではないが、特別な日だった。 夏休みの4日前。暑さもこの夏一番を記録していたっけ。 夏休みはとにかく勉強漬け。缶詰だった。 何も覚えてはいない。 しいて挙げれば、祖父の一回忌法要が営まれた事か。 そうだ、この日はちょっとだけ調子が違っていたのだ。 まず、父が参列していた事。 おそらく、皆の心境は複雑だったと思われる。困惑していた。 オレ自信、受け入れなかったし。 もっと奇妙きてれつな事があった。 その日の夜、父が1人で晩酌してたのだ。 今まで、家で酒を嗜んだ処など見たことがない。 下戸だと思っていた。 テーブルにはグラスとアイスボックス、それとフォアローゼスのプラチナ。 まぁ当時のオレは知る由もないが。 マドラーを扱う父の背は侘しく、初めて父に人間を感じた。 こんな父見たことがない。危うかった。 そして、オレは自然と導かれていた。 俺「父さん、話したい事があるんですが、、」 父「何か足らんと思っていたが、まさかお前とはな。 私もヤキが回ったもんだ。まさか愚息を肴に摘むようになるとはな、、 まぁいい、余興だ。掛けろ」 俺「はい」 父「ふふ、飲むか?」 俺は既に試されていた。 飲まなければ、テーブルに付く事はできない。 俺はだまって頷いた。 そして、、オェッ。クァーッ。 痛い。喉が焼ける。燃える。 ガソリンそのものだ。 匂いも半端なく、かつて嗅いだ事のないアルコール臭だった。 俺は頭を金属、いや、木のバットで殴られた衝撃を受けた。 とんでもない杯を受けた。洗礼。 父「はっはっ、よく味わえよ。めったに口にできるモノじゃないぞ。 全てが高次元に備わった、ホンモノだ」 俺はふらふらしながらも自我を保った。 俺「なんでじいちゃんが亡くなった時、戻ってこなかったんですか。 可哀想ですよ。 父さんだって、俺がそうだったら、嫌でしょう?なんでですか?」 父「モノには優先順位がある。そして、私の順位にそぐわなかった。 それだけの事だ」 俺「分かりません。俺には。そんな順位なんて意味あるんですか? 俺はいやですよ、そんなの」 父「人には役割がある。凡夫には凡夫の、私には私の。 私の役割、それは、、」 俺の意識は遠のいていた。 父「うつけが。まぁ危なく迂闊な事を滑らすところだったがな。 1つ借りにしてやってもいいぞ。くくっ」 俺は次の日、ベットで目を覚ました。 夏休みが明け、勉強だけの一日から開放された。 一高は予備校いらず、というか講習が充実している。 プリントはありえないくらいたまる。毎年2〜3人は倒れるらしい。 それも勉強中だ。毎年の儀式みたいなもんで。 だが、工藤クンはそんな講習すらも出ていなかった。 普通にポラルズの練習に出ている様だし。 でも相変わらず1位をキープしていた。 俺は工藤クンに挨拶を欠かさなかった。 すると、やっと工藤クンが話しかけてくれたんだ。 「お前も飽きないヤツだな」 そういった彼の口角は上がっていて、、 ちょっとハニカんだ彼の笑顔は、素敵すぎた。 一言だったが、俺の中で何かが変わる音がした。 俺は完璧にノブヒデくんに、、恋をしていた。 |
| いつだったか、数学Bの小テストで60点満点中、57点を取った事がある。 中々、骨のあるテストで、全部どっかの大学入試問題(当たり前か) 特に最後の問題の3つ目は偏差値65の難問。 流石に60を超えると脂汗が出てくる。 先生の解説もよくわからない。 と、その時、工藤クンが後ろからやって来た。 工藤「(3)だろう?どこまでいった?」 俺「あっ工藤クン。えっと、ちょっと待ってね、」 俺は急いで鞄からプリントを取り出す。 ぐちゃぐちゃの汚い字を見られるのは正直恥ずかしかった。 工藤「書いていい?」俺「うん」 そして、黙々と書き込んでいった。 工藤「東。いいところまでいってるよ」 俺「ホント?」 工藤「でも途中の計算が違っている。あと式が一本足りない」 俺「うん」 工藤クンって、こういう事はしない人だと思っていた。 いつも他人に無関心そうに見えるから。 でも、やっぱ本当は面倒見が良いに違いない。 工藤「入試は一問で浪人なんてザラだぞ。ケアレスミスはすんな」 俺「ありがとう、工藤クン」 工藤「じゃあな」 俺はこのプリントを大切にした。 一高は2学期にはすべての教科が終了する。3学期からは特別授業が組まれるのだ。 俺の中間は48位と過去最高で、その後の進路相談で、先生に褒められたのがうれしかった。 努力が報われた瞬間だった。 俺は今でも、恭平とは一緒に帰っていた。 この日も中間や工藤クンの事などを話していた。 恭平は突然真剣になり、俺に告白しないのか、と聞いてきた。 しないよ、と俺は答えた。 夏の暑かった日も今は昔、街はすっかり秋めいていた。 中華まんのおいしい季節。もう一月もすると雪もちらほら。 そんな節(せち)の話。 『修学旅行』 高校最大の、そして最後のイベントが始まろうとしていた。 この日HRでは、宿泊先のグループ分けについて話し合われていた。 3泊4日。広島で1泊、大阪で1泊、3日目自由行動後、寝台列車で1泊。 広島が大部屋で2つにグループ分け。大阪が2人部屋。 大部屋は恭平と同じ部屋。 どっちのグループでもたいした違和感がないくらいみんなとは仲良くなっていた。 工藤クンも一緒だった。 続いて2人部屋だ。みんな相談しに席を離れる。 恭平は友達に誘われていたから、俺はどうしようかと考えていた。 回りは結構、速く決まっていた為、焦っていた。 工藤クンも決まってはいないようだ。 俺は工藤クンに声をかけようかな?と思った。 特に工藤クンはこれ、と決まった友達がいなさそうだったし。 別に声をかけても不自然ではなさそうだ。 それに工藤クンと一緒の部屋。 何があるわけじゃないが、考えただけでドキドキだ。 心拍数があがる。 よし、決めた。工藤クンのところに行こう。 そう思った矢先、工藤クンは誰かに話かけられ黒板に名前を記入。 あっ、、一足遅かった、、 俺も阿部智志に誘われ決定した。 俺はすごく後悔した。もうちょっと早かったら、、 同じ部屋で、いろいろ話せたかも知れない。仲良くできたかも知れない。 心底泣きたくなった、、 修学旅行の一週前。 恭平のグループが集まって、自由時間どこに行くか話し合った。 他はUSJとかディズニーとかが圧倒的だ。 うちは工藤クンが京都を歩きたい、と言ってみんな完全に納得。 3日は京都に決まった。 『修学旅行』 俺は一生の思い出と言えば?と聞かれたら、『南洋の学校祭』と『一高の修学旅行』と答える。一生変わらないだろう。 俺はタカヤに恋をした。ノブヒデに恋をした。 俺がキレイな恋愛ができたのは、この2つの行事のおかげなんだ。 だって、その後の恋愛なんて、汚れていて、醜くて、情けなくて、人には言えない。 いつまでも俺の唯一の純な部分。 だからこうして書くのは恥ずかしいわけで、、 修学旅行の当日。 行きは飛行機を使う。勿論、AJA。父の配慮でほとんど無料同然だったと聞く。 俺は実は、、飛行機が初めてですごく怖かった。 それを隣の恭平に話したら、ゲラゲラ笑い出した。 皆には言っていないが、恭平は父が『東幹也』だと知っている。 恭平「航空会社の社長の息子が、飛行機が怖いって?んな事あるの?ははは」 俺「だって、なんで鉄の塊が飛ぶのさ」 恭平「ベルヌーイ知らんの?」俺「知らない」 恭平「お前ってホント可愛いよな」 ちょっとムカついた。俺ってホント無知だから。 そして、離陸、、あっ浮いている、、目をつぶる。 また恭平が笑う。ムカつく。 でも、恭平は良いヤツで窓際を譲ってくれた。 俺は下を見下ろす。すごい、ハッキリ陸の形が分かる。 地図の世界が目前に広がる。感動的な瞬間だった。ずっと下界を眺めていた。 広島に着く。町並みは札幌に似ていた。 原爆ドーム、平和記念公園、資料館。 俺は人間的に成長したと思う。 もし広島旅行がなかったら、もっと浅薄な人間になっていただろう。 ここでは省くが、感謝している。 お昼ご飯は、俺たちはお好み焼き村で、お好み焼き。焼きそば、目玉焼きが本場の味。ありえないくらいおいしかった。でも、席が狭すぎた、、 そして、旅館入り。 ホントわくわくだ。皆でお土産買ったり、もみじ饅頭食べたり。何をしても楽しかった。 夜は皆でトランプ、大富豪とかしたりして。 枕投げしたり、MD聞きながら歌歌ったり。楽しすぎた。 で、消灯。 俺は恭平と話していたが、恭平が気を使ってくれたのだろう。 工藤クンを入れてくれた。 恭平「工藤、どう?修学旅行楽しんでる?」 工藤「ああ、想像してたのよりずっと良かった」 恭平「そっか、それならいいけど。あんまりお前しゃべんないからさ」 工藤「、、」一呼吸擱いて、話始めた。 工藤「昔、一人の男がいたんだけど、そいつは昔は明るかったらしい。 でも、友達に裏切られて、人間不信に陥ったみたいで。 かつての明るさは見る影もなく全くの別人。 気付いたら、回りに誰もいなくなっていた。だけどそれはそれで楽だった。 裏切られるよりかはずっといい」 俺「それって工藤クンの事?」 工藤「友達の話だから、、でも、そいつは1人でいる事を望んでいるんだとさ」 そう言った工藤クンの顔はゆがんでいて、、 そして、布団をかぶって寝てしまった。 思ったよりも、全然傷が深いようで、、 自分1人で完結してしまっているのが、余計寂しくて。 感情をセーブしているのが余計悲しくて。 俺は工藤クンに惻隠の情を催した。 俺に何ができるだろう、全身で考えた。 2日目は午前中は記念公園で語り部さんの話を聞く。 午後は奈良のお寺周りと鹿公園を散策。 鹿に煎餅をあげるといっぱい寄って来た。カワイイけど、臭かった。 そして夕刻、大阪入り。 これからは自由時間だ。私服に着替え、恭平達とロビーで待ち合わせ。 梅田とか難波とかいろいろ歩き、食べ、いっぱい写真を撮った。 大阪のたこ焼きは、広島のお好み焼きと同じくらい美味だった。かなり並んだし。 9時にホテルに到着、その後11時くらいまでは、どこに行ってもよかった。 他のみんなは恭平の部屋に集まっていた。俺は新川と買い物に行く約束していたので、自室から工藤クンの部屋に向かった。 俺の相部屋の阿部はすでに恭平の部屋にいた。 チャイムを鳴らす。ピロリロ。 俺「工藤くん?新川いる?」 工藤「いない、どっか友達と買い物に行った」 俺はあいつ忘れているな、と思い仕方ないと思った。 俺「工藤クン、恭平の部屋に行かない?一緒に遊ぼうよ〜」と言ったが、 「やめとく」と一言。 俺はしゃあないと思い、部屋を出ようとしたが思い直す。 工藤クンも暇なんじゃ、、チャンスかも。 俺は「一緒に遊ばない」と誘ってみた。 神様お願い、、、 工藤「いいけど」 やった、、 と誘ってみたはいいけれど、何をしていいか分からない。 とにかくホテルを後にした。 こんな展開になるなら、もっと大阪調べれば良かった。 計画は全部恭平まかせだったから全然知らない。 それにやや寒いし。 この移動の間、ずっと無口だった。 途中、店に入るが会話は弾まない。 やばっ〜つまんないだろうな、と思っていた。 だが、あるお土産屋で工藤クンが立ち止まった。 何か見ている、、視線の先には、、たれぱんだがある。たれぱんだ。 俺は聞いてみた?「好きなの?」 恥ずかしそうに首を縦に振った。じつは俺も好きで、そんな話をした。 ちょと以外だった。 俺は工藤クンがトイレに行っている隙にキーホルダを2つ買った。 帰って来て、1つ渡すと初めて見る、満面の笑みで俺に「ありがとう」と言ってくれた。 そこから一気に仲良くなった。行けるところは全部行った。 普通に会話できてた。それはすごく自然で。 工藤クンはどこにでもいる普通の男の子だった。 一緒に居て、やっと気付いた。 そして、一休みの為、公園のベンチに腰をかける。 で、座るや否や、近くにコンビニがあったので買いに向かった。 いろいろ見てると、工藤クンが耳元で「お酒飲まない?」と言ってきた。 俺は無理だと思いつつ、レジにスーパードライを持って行った。 こんな事今までなかったから、本気でビクビクしていた。 学校にバレたらどうなるだろう、と思って、、 だが、案外すんなり買えた。 店を出ると、工藤クンが「な?」と言ってきた。 何が、な?なのか分からなかったが目的は達成した。 そして、さっきのベンチに戻った。 俺はちょっと罪悪感を感じていた。 見透かされたのか、工藤「あぁ、お前バレたら退学だぞ」と脅してきた。 俺「工藤クンが買えってゆったんじゃん」工藤「買ったのはお前だよ」 と言って同時に笑った。 工藤クンはプルタブを開けた。プシューと音がする。 そして、飲み始める。グビグビっと。 はい、と渡された。 俺は初めてビールを飲んだ。悪くなかった。多分、工藤クンのおかげだろう。 気分は揚々だった。 俺「意外とうまいね、子供にはまずいって聞いてたけど」 工藤「はは、実は俺も初めて飲んだ。なんでコンビニで、あんな事言ったのか、 自分でも不思議に思う」 少し、沈黙が入る。そして、 俺「あのさ〜工藤クンって友達に裏切られたの?」 工藤「昨日の続きか、、分かった話してやるよ」 よっと、と立ち上がり、ブランコに移動し漕ぎ始めた。 工藤「俺には好きな人がいて、親友にそれを話した。 絶対ゆうなって、言って。お前知らないと思うけど、俺ホッケーやってて その部活の親友だった。そいつが俺のいない時にバラした」 俺「ひどい、ひどすぎる」 工藤「そいつとは小学校からの付き合いで、親友で。 だけど、あっさりと裏切られた。 それだけなら良かったけど、それが本人の耳に入って、俺は直接言われた。 『キモイ』って。もう俺はショックで何も考えられなかった。 告白するつもりなかったんだぜ。笑っちゃうだろう」 俺はもし、今恭平にゲイだってバレたらどうなるだろう、ぞっとした。 工藤はノンケだけど、好きな人にバレたら絶対、一緒に生活したくないと思うはずだ。 タカヤに告白して逃げた時(フラれたと思った時)俺はそんな事を考えたからだ。 俺「マジで、そいつムカつくね」 工藤「俺はムカつきもしなかったよ。言った俺が悪いんだって。 だけどそれ以来、友達なんて信じられなくなった。 友達、というか人そのものが、、」 俺「辛かったね、、」 俺は泣いてしまった。泣いてしまった。 工藤「おい、なんでお前が泣くのよ、ばか」 俺は何も言えなかった。俺は工藤クンの親友だったヤツをぶん殴りたかった。 こんないいヤツを裏切ったヤツを、、 俺の好きな人を傷付けたヤツを、、 すみません、後編に続きます、、 |
| 今日 初めて 最初から 全部読ませてもらったよ☆彡 何か めっちゃ 面白いっす^^ Hじゃない所が多いけど、 逆にHな所だけ多くても 第三者の俺から見たら何もオモロくないし 伝わらないから このままH以外も 詳しく もちHな所もいっぱい書いて下さいm(_ _)m まじ 続きが楽しみです('-^*)/ この前この話を中傷した人は もうぜったい しないでください |
| 俺はビールのサージング(泡立ち)もほとんど残っていない、ぬるくなったビールを一気に飲み乾した。 俺「工藤クンの友達になれないかな?ずっと考えてたんだ」 殊勝なほど自分の本音が言えた。 酒の力を借りたとも言う。 だが、言ってみて自分の気持ちをやっと飲み込めたのだ。 好きって、ただ一緒に居たいって事なんだ。 今ハッキリと分かった。 工藤「東が、その事をずっと考えていたんだろうなって、今やっと分かったよ」 俺「えっなんで?」 工藤「俺が挨拶しないのにずっと、挨拶してきただろう。 正直、うざいヤツだなと思ってた」 俺はまぁしつこいぐらいは、と思っていたが、その答えは予想していなかった。 工藤「俺がシカトしてても、『次の日、また』だろ? ある時を境に、うざいヤツから変なヤツに見方が変わった」 俺「うざいヤツから変なヤツに、、ね、、」 俺は少し悲しくなったが、 工藤「あぁ。でもその変なヤツがすごく気になってきて。 めげずに何度も来るし、ちょっといたずらしてみたくなった。 ある時、俺が露骨にそれを態度に出したら、お前がしゅんとなって、、 俺は、やべっ、可哀想なことをしたなと思った。 だから、次の日俺から、おはようって言ったんだぜ?」 そんな事もあったなぁと思い出していた。 工藤「ずっと、なんでこいつは俺に話しかけてくるんだろうと思っていた。 他のヤツはすぐ話しかけなくなっていったし。 正直それで、俺なりに距離をとってたんだけど」 俺「そうだったんだ、、」 そっか、自分の身を守るために、誰とも話しをしなかったんだ。 工藤「だから、俺はお前に困惑した。いや、もっと言うと迷惑だった。 けど、なんか健気なお前見てたら、ずっとシカトし続けるのは無理だと悟った。 俺もお前も辛いのが分かったから」 工藤「友達になりたい、、そっか、それか。 俺はやっと理解できたよ。 うれしいよ。マジで。 それだけの為にずっと頑張ってたなんてな。しかも、俺なんかの為に。 やっぱお前は変わったヤツだよ。 でも、、ありがとな。東。」 俺は工藤クンの一言一言に、やさしさを感じとれた。 すごい感受性豊かな暖かい人だと思い知らされる。 だから逆に、人一倍傷つく結果となってしまったのだろう。 絶対、やってはいけない事を工藤クンの元親友はしてしまったのだ。 工藤「もう1つ言うと、俺は1年の頃からお前の事は知ってたよ。 傍から見ても新城にイジメられてるって分かった。 でも、お前は学校に来てた。抵抗もしないで。 強いヤツだって思った。だけど、俺は自分の事でいっぱいだったから、 1年の事も含めてシカトするしかなかった。 お前の辛さが分かったから、もうシカトできなくなって、、」 俺「そのおかげで、今一緒に遊ぶ事ができたんだねっ」 工藤「ああ」 外には冷たい風が吹き抜ける。 公園の時計を見上げると22時30分を指していた。 そろそろ、戻らないとまずい。 酒も飲んでいたし、教師の見回りが来るまでには床に就いていないと、、 工藤「でも、、」 俺「でも?」 工藤「やっぱ俺は東と友達にはなれない」 俺「なんで?」 そして、俺は驚愕の事実を聞く事になる。 工藤「もうここまで、言ったから全部話すけど、、」 俺「うん」 そして、刹那。 工藤「俺さぁ、好きな人がいたって言っただろう?」 俺「うん」 工藤「絶対、引くと思うけど、てかありえんし」 俺「そんな事ない、大丈夫だから安心して」 工藤「、、俺が好きなヤツって、男だったんだ」 俺「えっ、、」 工藤「部活の後輩で。そいつは1年だった。男を好きになった」 俺は言葉を失った、、工藤クンが、、ゲイ? 頭の中が、真っ白になった。 工藤「やっぱ引くよな、、だから言いたくなかった。 だけど、言わずに済む事じゃなかったし。 もしか、東なら、、なんて思ったけど。 結局。俺には無理なんかね、友達作るなんて」 カッコイイ顔が崩れる瞬間が分かった。 美しいほど悲しすぎた。 俺は、、俺は、、なんかなんか、息が、息が苦しくなって、気付いたら、、 気付いたら、工藤クンに、工藤クンを抱きシメテイタ、、 俺「ごめん、そんな事全然、全然、関係ないからさぁ〜 もうさぁ〜もう苦しまなくていいよ。 俺ずっと、ずっと、工藤クンの、ノブヒデくんの側にいるからさぁ〜」 工藤「わぁ〜〜〜」 俺「ずっと、ずっと側にいるから」 俺はもう、もう、大泣きした。 俺「あ〜っ、、あっ〜っ、、わ〜」 あっ〜〜〜 なんで、こんなに、こんなに1人で傷ついてんのさ。 俺は俺は、、、、もう、、、、 俺はいつホテルに戻ったのか、どうやって部屋に戻ったのか覚えていない。 覚えているのは、工藤クンの、、ノブヒデのぬくもりだけだった。 俺はいつ旅行が終わったのか、どうやって家に戻ったのか覚えていない。 覚えているのは、工藤クンの、、ノブヒデの悲しみだけだった。 『哀切』 応援ありがとうございます。寝ないで書いている甲斐があります(笑) そして、いよいよ序破急の、『急』クライマックスに入っていきます。 俺は、多分、良い物が描けるような気がしているのですが、、 ぜひもうちょっとお付き合い頂ければと切に思っています。 |
| 工藤くんとやっと通じあえて良かった!!!なんだか嬉しいです(^Ⅴ^) |
| 工藤くんもゲイだったんですね。なんだか安心しました。 最後まで読ませてください☆ |
| 俺は日常の中にいた。 俺は旅行前と旅行後、何ら変わるところはなかった。 帰って来た最初の日、工藤クンにいつもの様に挨拶したのだが、 いつもと変わらない返事が返ってきた。 旧態依然。 工藤クンはあの日のコト、どう思っているんだろう。 まさか酔った勢いの悪ふざけというわけでもあるまいし。 工藤クンを見るとなんか恥ずかしかったが、向こうはそんなコトないようで。 それだけの事なんだが、オトナを感じた。 一方、工藤クンには変化があったようだ。 恭平とか新川とかと話している。 俺はいよいよもって、分からなくなってきた。 俺との距離はどうなんだろう。そもそも友達になれたのだろうか。 自問自答していた。 11月18日。 ミッキーマウスの誕生日。と同時に俺の誕生日でもある。 今日は今朝方からずっと雨で、うっとうしい天候だ。 俺は小さい頃、母方の祖父母や親戚にディズニーに連れて行ってもらった。 誕生日に行くと、混んで混んで大変だったっけ。 1997年のこの日は平日だった(はず) 俺の誕生日を覚えてくれてるのは、テツ達と恭平だった。 恭平は第一声で「誕生日おめでとう」と言ってくれた。 それを聞いていた近くの人も「東、誕生日なんだ、おめでとう」と祝ってくれた。 照れくさかったが、「ありがとう」と答えた。 夜はテツとかと遊ぶことになっていた。今日は予備校も入れていない。 授業が終わるとすぐ玄関へと向かった。 靴を履き傘を広げる。すると後ろから「あずま」と呼ぶ声がした。 振り返ると工藤クンだった。 工藤「一緒に帰るべ」 俺「うん」 工藤「東の家どこ?」 俺「山口公園の近くだよ、工藤クンは?」 工藤「学校のすぐ近く」 確認するが、一緒に帰るのは初めてだった。 俺は少しばかり緊張していた。 そしてたどたどしい会話が続いた。 俺「元気だった?」 工藤「ああ」 俺「勉強どう?順調?」 工藤「まぁな」 だめだ、なんか苦手な同級生に話かけてるみたいだ。 そして、会話が途切れた。 俺「修学旅行楽しかったよね」 言って、はっと気付く。地雷を踏んでしまった。話題を変えなきゃ、、 だが、工藤クンはあっさり「ああ、楽しかったよ」と答えた。 この答えと併せて、帰るのを誘ってくれた限り、友達にはなれたのかな、と思った。 途中、工藤クンの家があった。 結構、大きい庭付きの一軒家だ。 そしてお別れ。ただその時、工藤クンが不思議な事をつぶやいた。 工藤「東、って歩くのどのくらい?」 俺「えっ、、どのくらいって、、このくらいかな?」 実際、歩いて見せた。 工藤「分かった。じゃあな」 俺「??うん、ばいばい」 その後、家に向かったが、ひょっとして追いかけてくれるのかな、と期待した。 まぁそんな事もないか。気にせず、歩き続ける。 5分ぐらい経っただろうか、後ろから足音が近づく。 「東!」工藤クンだった。 上はD&Gのパーカー。インナーは黒×赤のアーガイルニット。下がココルル。 オシャレさんだった。 俺はうれしかった。もしかしたらが、実際起こったのだから。 そして、ハイっと言って何か手渡された。 工藤「誕生日なんだろ、今日。プレゼント。ほれ」 俺「えっ、なんで知ってんの?」 工藤「さっき、野口がしゃべってただろう。聞こえてた」 俺「まじで〜開けていい?」 工藤「ああ」 俺は小さい袋のテープを剥がした。 中から出てきたのは、たれ(たれぱんだ)のキーホルダーだった。 工藤「大阪の時、お前に買ってもらったからな。朝一で買ってきたよ。 大阪ではお前に世話になったし。まぁなんて言うか、友情の証だ」 俺「マジで〜俺の為に?超感激だよ〜ありがとね〜」 自分の分も買っていたから、2つになったんだけどそんな事はどうでもよく、ただ単純に喜んだ。 工藤クンからもらった初めてのプレゼント。大事にしよう。 工藤「今日なんか用事あんの?」 俺「なんもないよ」俺は嘘をついた。 工藤「じゃあ遊ぶべ」 俺「俺んちでいい?誰もいないんだよね」 工藤「東がいいんなら、いいけど」 俺「じゃあ決まりね」 。。そして帰宅。 俺「どうぞ」 工藤「おじゃまします」 俺の家は2LDKのマンション。父の部屋と俺の部屋がある。 俺の部屋は6畳。ほぼ一般的だ。 実は東京に持ち家があるのだが、俺は行った記憶がない。 お母さんの物があると聞く。 工藤「なんか生活感のない家だな。気味が悪いくらい片付けてあるし、物が少ないし」 俺はクラスで、お手伝いさんが入っていて、ほぼ一人で暮らしてる事や父の事は一切話していない。 実際、父がAJAの社長なんて、信じてもらえなさそうだし、クラスの中では普通で通したかったからだ。 俺「そう?俺も父さんもA型だしね」話をはぐらかした。 俺「何飲む?と言ってもお茶しかないんだけど(笑)」 工藤「そうだな、、じゃあコンビニ行かね?」 俺「じゃあ近くのスーパーにしよう」 工藤「オッケイ」 売り場に到着。雨もすっかり上がっていた。 工藤「大体、揃ったな、、あとこれにするか」 と言って手に取ったのは2個入りのケーキだった。 俺「うん」笑顔で歯を見せた。 家に着くと19時を回っていた。 ヤバイ、遊ぶ約束してたんだ。忘れてた。 すかさず、テルを入れる。 俺「母さん?テツいます?」母「哲哉、ノブくんから」 テツ「もし、なした?」俺「ごめん。約束してたけど、行けなくなった」 テツ「マジで?せっかく、晩ご飯とか用意してたのに」俺「ホントごめん」 テツ「分かった、その代わり明日は来いよ、残しとくから」 俺「テツごめんね。母さんにも謝っといて。明日俺も謝るから」 テツ「あいよ。じゃあ明日な」俺「うん。ホントごめんね」テツ「したっけ」 俺は心苦しかった。心の中で謝った。 工藤「お前、約束あるんなら、すぐ帰ったのに。なんで言わない?」 俺「忘れてたんだ。今気付いてね」 工藤「今から行けばいいだろう。俺帰るし」 俺「もう断ったし。ケーキー食べよう〜」 工藤「だけどよ、、」 俺「じゃあさ〜わがまま聞いてよ」 工藤「ん?何?」 俺「今日、泊まっていこう?」 俺はどさくさに紛れてとんでもない事を口走った。 だけど工藤クンは断らなかった。 ケーキを頬張る。 思えば誰かと2人でこうやって誕生日過ごすことは初めてだったな。 いつも1人か親戚の家だったから。 しかも、目の前には俺の好きな人がいる、、 TV見て、ゲームして(風来のシレン)、風呂に入って、俺の部屋に案内した。 工藤クンが来るなら片付けとけば良かった。 いっつも汚いし。自分の部屋は片付けないように言ってある。 とりあえず、3分ぐらい片すのに待ってもらった。 そして、俺の部屋へ。 俺はパソコンの電源を付け、お気に入りのミスチルをかける。 工藤「あの絵って手書きだけど、東が描いたの?」 俺「うんにゃ。友達にもらったんだ。前の苫小牧の南洋の」 そして、俺は工藤クンに南洋の事。生い立ち、家庭環境の事などを目一杯語った。 タカヤのことは勿論、触れてはいないが。 工藤「お前もいろいろあるんだな、、。だけど、親父さんが再婚しないのは、 やっぱ、東やお袋さんの事大切に思っているからだと思うぜ」 俺は、はっとした。 今まで、そんな観点で考えた事なかったからだ。 俺はただ相手がいないのだろうと幼稚な事しか思い浮かばなかった。 俺「工藤クンの事も聞かせてよ」 工藤クンは3人兄弟の長兄で、下に弟、妹がいる。面倒見がいいのはここから来てるのだろう。 また小学校は勉強が出来ない子という意外な事実も知った。 そして、中学の時に好きだった後輩の事を聞いた。 俺「どんな人だったの?」 工藤「最初、なんとも思わなかったんだけど。 背が小さく、童顔で。なんか教えているうちに、段々可愛く思えてきて。 ノブさん、って笑顔で言われると、なんだか幸せな気分になった。 キモイ話だけどな。でも、俺ホントに好きだった。 部活で一緒にいられるだけで良かったんだ、それなのに、、」 俺「うん、、」 工藤「まぁ終わった事だし、関係ねー。っともう1時だぞ。そろそろ寝るか?」 俺「うん」 俺は工藤クンに布団を敷く。 俺「電気消すね」 工藤「ああ」 、、、 工藤「東って好きな人とかいないの?」 俺「えっ、、」俺は言葉に詰まった。 そして、「いるよ」と答えた。 工藤「そっか」俺「うん」 俺「そっちって寒くない?」工藤「あぁ問題ねー」 俺「毛布そっち薄いからさ、、こっちおいでよ」 工藤「やめとく」 俺「いいから、てか枕も低いし」 工藤「いいって。てかお前も知ってるだろう、何回も言ってるし」 俺「一緒に寝てなんかするの?」 俺って最低な事を言ちゃっている。自分でも分かっていた。 工藤「そんなわけないだろう、怒るぞ」 俺「じゃあ一緒にねよー」 工藤「だから、、」 俺「いいじゃん、、てかお願いします」 そこまで言って、やっと布団に入ってきた。 工藤「やっぱお前って変なヤツ」 俺「そっかな?」とぼけた。 俺「腕枕してもらっていい?」 すごいここまで言ってしまう自分が信じられなかった。 今思えばホント身勝手で、でも本当に工藤クンを愛してたんだ。 工藤「わかった」 そして、手が回る。 俺は思い出していた、確か前にもこういう事があった。 タカヤだ。 工藤クンのベビードールが、ぬくもりがあの日を喚起させる。 俺はあまりの暖かさに、幸せに、震えていた。 朝起きると、もうそこには工藤クンはいなかった。 俺は歯を磨きながら考えていた。 何を? 前に俺は恭平に、告白しないのか?と聞かれた。 その時はしないって答えたんだけど。 タカヤの時は感謝の意味合いが強く、その点、工藤クンにはしづらいとは考えていた。ただ可能性がないわけではなかった。 だけど、今は違う。違うの意味が違う。 俺は『告白はしない』と決めた。それはこの先ずっと変わることはなかった。 ずっと友達として側にいようと。 工藤クンへの想いを捨ててしまおうと。 誓った。 相手がゲイだったら、チャンスと思うのが普通だろう。 今、現在の俺ならそう思う。 ただ、この頃の伸之は純粋で。 ゲイだから告白できる、という事を潔しとしなかった。 卑怯な気がした。向こうはバラした。けど、こっちは言っていない。 フェアではなかったのだ。 あの時、別に俺がゲイだって隠すつもりはなかった。 あまりにもノブヒデが悲しすぎたから、、言えなかった。 俺は自分の出した答えをリフレインしていた。 告白は、、しない、と。 この日以来、工藤クンとはよく遊ぶようになった。 そして、俺は自分の見つけた秘密のとっておきの場所を教えた。 学校途中の森の中の空間。 雪が降ってからは流石に行けなかったが、2〜3回行ってだべった。 ただ学校ではあんまり会話をしない。 それが逆に秘密っぽくて、心地よかった。 いつからかお互いを『ノブユキ』『ヒデくん』と呼ぶようになっていた。 そして、時が流れ、、3月へ。 俺はよくヒデくんの試合を観に行った。 リンクの中の彼はカッコよくて、熱くって、華麗で、目を奪われた。 すごい声を出していたし、後輩・先輩から圧倒的信頼を得ているみたいだ。 ユッケの話では、ヒデくんは変わったとの事。 みんなビックリしていると聞いた。 あとキーホルダーだが、俺はアディダスのペンケースに、ヒデくんは鞄にそれぞれ付けていた。みんなにバレないかな、でもバレてもいいかもね。 そんな事を考えていた。 |
| ここ数日、朝起きてから更新されてないか、楽しみにして来ています。 今日はまだ更新されてなくて残念でしたが、寝ないで書いているということなので無理はしないでください。 俺は自分を守るために人と距離を置く工藤くんの気持ちがよくわかります。 自分自身がそうだから… でも工藤くんは東さんに出会えて感謝してるのではないのかなと勝手に思ってます。 それでは、お忙しいとは思いますが続きを期待しております。 |
| 僕も朝で学校いく前にみてますよ(^-^)続きが気になります。こういう恋愛を僕もしてみたいっす。 |
| 応援ありがとうございます。 楽しみにして下さり、ありがとうございます。 朝楽しみにしてます、、なんてなんかうれしいです。 それと続き遅くなってしまい、申し訳なく思っています。 昨日は家に帰ってバタンキューで寝てしまいました。 今日も書きたいと思ったのですが、、 どうやら最終話になるようで、なかなか進みません。 もう少々お待ち戴ければ幸いです。アズマでした。 |
| いよいよ最終話なんだね(>_<)毎回毎回楽しみに読んでました。初めの頃に作品を削除されてしまって、続きを楽しみにしてた俺はがっかりしたりした事を思い出しましたo(^-^)o再開してくれた時は本当にうれしかったんよ!長々とすみません!期待してますからね |
| ついに最終話なんですね…。 早く読みたいと言う気持ちと終わってほしくないという矛盾した感覚です。 忙しい中での執筆だと思うので無理はしないでくださいね。 |
| サクラを見ると、ふと泣きたくなる時がある。 切なさがこみ上げる。 思い出すのだ、、 自分の記憶、先祖の記憶。 DNAに刻まれた太古の想い。 サクラの美しさは常しえ。 人は桜を見て歓喜する、恋焦がれる、古を偲ぶ。 過去にも現在にも未来にも櫻は伝える。 『桜舞落涙』オウブラクルイ 近い人、遠い人を慈しめれるように、、 俺とノブヒデのストーリーにもエンドロールが流れようとしていた。 2008年4月8日〜 ずっと憧れだった。 たまに音楽の授業とかで来る事はあったが、校門から校庭までを一望できる、この場所にようやく辿りついた。4階の6組。 クラス替えがないので、2年時と全く同じメンバー、同じ教師陣。 変わった事と言えば、やっぱこの眺めくらいだろうか。 忘れていた。そう言えば、バスケの部長が恭平に決まったようだ。 新城の談では受験に忙しく、そんなお遊びやってられない、との事だが単純に恭平に負けたのだって思っている。 1年の時、新城が部長になるという話があったのは事実。 でも結局、世の中、なんだかんだ言っても旨くできている。 工藤「だから、違うって言ってるだろう」 俺「なんで?車でしょ?」 工藤「諏訪、すわ、分かる?2文字だっつてるべ」 俺「妹なのに?変なの」 俺たちは教室でクロスワードパズルをしていた。 さくらの苗字は諏訪なんだが、今でも『車』と答えてしまう自分がいるので、仕方ないか。 俺「だって釣りバカの方が面白いし、、」 工藤「寅さんの生き方はカッコいいけど、浜ちゃんの生き方はダサいだろう?」 俺「太公望だって釣りばっかしてたけど、出世したじゃん」 工藤「太公望もそんなに釣りしてたわけじゃないだろう。 大体、歴史上の人物って過剰に書かれすぎなんだって。 ナポレオンも3時間しか寝てない、ってあるけど、それはベットの中で、っていう意味で。馬車とか船の中で寝てたようだし」 俺「俺、歴史苦手なんだよね。もう終わった事はいいじゃん、大事なのは今を大切に生きるって事だよ」 と言ったら、工藤クンは少し考え出して。 俺「どったの?ヒデくん。俺、変な事言ったかな?」 工藤「まぁ一理ある」と言って、俺の髪をくしゃくしゃにした。 俺は最近感じる。 よくここまで仲良くなれたな、と。 最初はほとんど相手にもされず、話しすらままならなかった。 普通はそこで、もう話しかけるのやめよう、と思うわけで。 多分、容姿とかも好きではあった。 だが、それ以上に俺の琴線に触れたのは、やっぱ工藤クンのベビードールなんだ。 俺の中ではタカヤの匂いとしてインプリンティングされている。 まさに刷り込みだったのだ、、 やはり俺と工藤は出会うべくして出会ったんだ。 俺は今、ちょっと父に感謝した。 それは気まぐれで、なんの意味もなかったのかも知れない。 希望から絶望へと塗り替えられた運命。 だけど、そんなデタラメが一生で一番、そして以後体験できないモノを与えてくれた。 純愛、、今だからそう思える。 ようやく、北海道にも開花予報。 いの一番は、お決まり函館五稜郭。これを観ずして桜は語れない。 俺が生きてきた中で一番美しいと思った桜は、洛東・祇園の祇園枝垂れ桜。 中学の修学旅行で出会った時、あまりの美しさに言葉を失った。 『清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ逢う人 みなうつくしき』 与謝野晶子は桜を詠んだ。 桜の美しさは全ての者を幸せにさせるという意味だ。 まぁ敢えて言ってみるが、晶子の鉄幹に対する慕情が、他人すら幸せに見えるほど絶頂だったという事で、、 ちょうど、クリスマスと同じ感覚かもしれない。 俺は工藤クンを誘い、例のとっておきに行こうとせがむ。 絶対、俺たち以外は知らない『聖域』なのだ。 オレと工藤クンの秘密の基地みたいな。 俺たちが来ると、桜が7分くらいで咲いていた。 俺「よかったね。ちょうど見頃だよ」 工藤「まだ完全に咲いてないけどな」 俺「毎日、来ればいいじゃん」 工藤「めんどい」 俺「一週間に一度?」 工藤「ギリギリアウト」 笑った。 俺「あと何回くらい桜見れるんだろうね」 工藤「まぁ80まで生きたとして、余裕で60回以上は見れるんじゃないか?」 俺は60回は少ない気がした。 俺「一年って52週だよね、なんかジャンプで言うと1年分くらいしか桜見れないんだね」 工藤「例えがおかしいけど、そうなるな。なんで?」 俺「うん、なんか意外と少ないなってね」 そして、少々沈黙。 工藤「サクラ観に行くか?円山公園に」 俺「マジで〜〜行く!!」 やっぱ工藤クンって、、やさしい。 計画して、着く頃にはもう桜は満開だった。 花見客も大勢いて五月蝿いし、酒臭いし。 でも、桜の雨がシンシンと降るさまは言わずもがな。 すごいロマンチックだった。 俺は工藤クンと並んで歩く。 俺は照れくさかった、、 あんまり話はしなかったが、気まずいどころか心地良くて。 ずっと、油絵のキャンパスの中の中心にいた。 俺と工藤クンが主人公。 ピンクと白の世界。 俺「すごい満開じゃない、こんなぴったりなのすごいね」 工藤「重なったな」 俺「うん」 工藤「平日なのにすごい人だな、みんな暇なんかね?」 俺「2人揃って風邪で休んだ俺たちだって、結構なもんだと思うよ」 工藤「まぁな」 誰だろう、『桜吹雪』って言葉を最初に使ったのは。 なかなか堂に入っている。 その後、食事。 俺はこの日の為に腕に縒(よ)りをかけた。 まずは玉子焼き。ねぎ入りの出汁焼き玉子。きちんと山芋を配合してます。 トリの唐揚げ。ポテトサラダ。ウインナー。おにぎり。 部屋は汚いが料理はできた。 工藤クンがおいしいと言ってくれたので、ホント良かった。 前の日、頑張った甲斐があった。 花びらが舞い落ちる。 じっとサクラに魅入っていた。 緩やかな時間が流れる。 日も落ちようとする頃合い。 俺「じゃあ帰ろっか?」 工藤「そうだな」 また沈黙が流れる。 そして、、 工藤「サクラって儚いよな?」 俺「うん。儚いね」 工藤「この前お前が、何回桜見れるかって言ってたけど、それ考えてた。 俺は何回でも見たいと思う。50回でも100回でも」 俺「桜って、1年に1回しか咲かないよ」 工藤「今年はこれで3回見てる。しかもお前とな」 俺「なる〜。そっか。あんま1年に1回以上観れるって意識ないからね。 そうすると、60回以上観れるのか」 工藤「だろ?」 俺「うん」 工藤クンの言う事は当たり前と言えば、当たり前なんだけど、俺には意外と盲点になっている場合が多いらしい。 工藤「俺は何回観てもいいと思ってる」 俺「桜を?」 工藤「ああ」 、、、 工藤「ノブユキとなら」 ドックン。俺の心臓が1つ大きな脈を打つ。 俺「俺も工藤クンとなら何回観てもいいよ」 工藤「サンキュ!」 そして、また歩き出す、、が、 工藤クンが立ち止まる。 俺「なしたの?」 工藤「ノブユキ、、」 俺「うん?」 工藤「なんでもない」 俺「なんでもないって、、なにさ?」 、、、 工藤「俺、ノブユキの事が、、好きなんだ」 俺「へっ、、」 俺は不整脈で心臓が止まってしまいそうだった。 俺「今、、なんて??」 工藤「、、」 工藤「ノブユキの事が好きで好きでどうしようもない」 ドックン、ドックン、ドクッ。 俺の心臓はこの負荷に耐えられそうにない。 俺「冗談でしょ。俺をからかってるの?」 というと顔を真っ赤にして下を向いてしまった。 本気なんだ。うそ、、工藤クンが俺を、、 俺「本気で?」 今にも泣き出しそうな顔で頷く。 俺は心底たまらなくなった。 ずっと好きだった人が俺の事を好きになってくれるなんて。 俺はつい先立って、工藤クンは諦めようと思ってたのに。 信じられなかった。 俺なんだよ、好きなのは。ずっと前から好きだったんだ。 工藤クンは悲しくて、寂しくて。 それなのにやさしくて、あったかくて。 好きなのは俺なんだ、、 俺は涙に震えた。 ゴメン、ゴメン、工藤クンは何度も何度も繰り返した。 そんな工藤クンが愛らしく愛らしくて仕方なかった。 俺「謝んなくていいよ。なんも工藤クン悪くないよ。 そうじゃなくてさ。俺ってキモイし、性格悪いし。いいとこないし。 こんなダメなヤツで、ほんとゴメンね」 工藤「違う。俺はお前に救われたんだよ。 友達なんかいらないって思ってた。 でも、実際は辛かった。 そんな俺にノブユキはずっと話しかけてくれた。 俺、すげーうれしかったんだ。 ありがとうって、ずっとずっと言わなきゃって思ってた。 ノブユキ、ありがとう。マジありがとうね 俺は、俺は、ノブユキが好きだ!!」 俺「ありがとう進英クン」 俺は、工藤進英をアイシテイタ、、 俺「返事はこの次でいいかな」 工藤「返事ったって、付き合えるわけじゃないし」 俺「そっか」 工藤「ノブユキに告白できて良かった。後悔なんてしてないから」 そう言って、家に向かうノブヒデくんの姿は、どこか愛らしくて、どこか寂しげで、どこか儚く感じた。 俺は返事の場所を決めていた。 もちろんとっておきの場所。 俺はじっと待っていた。 俺より10分後にノブヒデが来た。 工藤「もうそろそろここの桜も見納めだな」 俺「うん、桜も大分散ったよね」 工藤「やっぱ儚いよな」 俺「うん」 桜は最後まで、気高かった。 桜の花びらがひらひらと2〜3枚落ちる。 まだ俺たちにその美しさを見せようと懸命になっている。 その気高さがまばゆい。 俺「じゃあこの前の返事、言うね」 工藤「分かった」 俺「工藤くんが好きです。付き合ってくれますか?」 工藤「あぁ」 、、、俺は優しく抱かれていた。 もっとギュッと抱きしめて下さい こうか? うん、あったかい お前の心臓の音が聞こえる 恥ずかしいんだけど ねぇノブヒデ、 うん? ずっと一緒にいてくれる? あぁ、ずっと側にいる 俺、ノブヒデが好きだよ、、 オレも愛してる、、ノブユキ |
| お待たせしました。 ようやく最終話を書き上げました。 遅くなり申し訳なく思っています。 最終話と銘打ってますが、実はまだ未完の作品です。 残り3〜5話で全て完璧になりますので、飽きてない方はお付き合い戴ければ、幸いです。 アズマでした。 |
| これ実話ですよね?なんかすっげー切なくなる…。 |
| この掲示板でこの話が一番好きです!!!(*o>∀)ov |
| 普通はHな話なんやから 工藤くんとの Hな話を詳しくよろしくな! |
| 東さんもお忙しいかとは思いますが毎日毎日気になってます。 是非続きをお願いします |
| 繋がった。。。本当、すばらしい作品ですね。もう、涙がとまりません。感動でいっぱいです。続き読ませていただきます! |