どちらかが射精して終わる罰ゲームではなく、この罰ゲームの終わりは、お互いが射精した時というルールにしたかった私は、再び手を差し出す。
「ジャンケン、ポン」
出したばかりの身体にとって、ここからのジャンケンは絶対に負けられない戦いだった。賢者タイムの波が押し寄せる中、もしまた負けてしまえば、あの過敏になりきった先端に再び触れられることになる。それだけは、何としても避けなければならなかった。
けれど、私の祈りは届かなかった。
私の負け。こうじの勝ち。
運命の女神は、非情にもこうじに微笑んだ。こうじは勝ち負けのルールに従い、ジャンケンに勝ったからという理由だけで、ごく機械的に、淡々と私のフェイスタオルの上から再び手を伸ばしてきた。
そこには、悪意もなければ、私をからかおうという意図も一切ない。
「いく」という感覚がどんなものなのか、その後に訪れる肉体の劇的な変化を全く知らない未経験のこうじには、射精直後のそこがどれほど恐ろしい過敏さに包まれているか、想像すらつかないのだ。
こうじの指先が、白濁を吸い込んでじっとり濡れたフェイスタオルの上から、少し萎えかけた私の塊、特に包皮に包まれた亀頭の部分へと迷いなく触れる。
そして、タオルのザラザラとした布地越しに、その一番尖った過敏な先端を、指先でクリクリと弄り始めた。
「っ、あ――、う、くぅううっっ!!」
声にならない悲鳴が喉の奥で跳ね返る。
直前に激しい絶頂を迎えたばかりの亀頭は、タオルの布地を挟んでいるとはいえ、触れられること自体が恐怖を感じるほどの、拷問にも似た狂おしい神経の過敏さを帯びていた。そこをピンポイントでクリクリと、何の躊躇もなく擦られる刺激は、快感を超えて脳の芯が痺れ上がるような凄まじい衝撃だった。
(アカン……っ、これは無理や、本気で死ぬ……っ!)
耐えきれなくなった私は、次の瞬間、タオルの上から私の先端を弄っていたこうじの手を、上からガシッと力任せに握りしめた。これ以上、一擦りも、一揉みもさせないために。
強引に手を握られたこうじは、動きをピタリと止め、不思議そうに私を見た。
「はぁ、はぁ……っ、く、ふぅ……」
私は天を仰ぎ、強張った身体をほぐすように激しい呼吸を繰り返しながら、こうじの手をがっちりとホールドし続けた。
ジャンケンに勝ったから機械的に動かしただけのこうじの無垢な瞳と、過敏すぎる拷問刺激に冷や汗を流す私の視線が、薄暗い秘密基地の中で静かに交錯する。
お互いにすべてを曝け出した空間。私はこうじの手を握りしめて行為をやめさせたまま、この恐ろしい過敏さが少しでも引いていくのを、必死に耐えながら待っていた。「はぁ……ふぅ……」
ようやく過敏な痛みが少しだけ引き、私は握りしめていたこうじの手をゆっくりと離した。
まだドクドクと不規則に脈打つ自分の身体を落ち着かせながら、私はふと、こうじの股間へと目をやった。
(……あ、萎んできてる……)
そこにあったこうじの塊を見て、私は胸の奥がキュッと収縮するような焦りを感じた。
彼がジャンケンで連勝したことによるインターバル。そして、私が初めて他人の手でいかされ、全身をのけぞらせて激しく変化していく様や、タオルに滲んだ白濁の生々しさに、こうじ自身もすっかり気を取られていたのだろう。
さっきまで、先端まで被った皮の内側でパンパンに張り裂けそうだったこうじの棒は、今や明らかに、あの放課後の図書室の床で、私が初めてその手を滑り込ませて掴んだときの、あの「小ささ」へと戻りつつあった。
(今すぐ、俺の手で刺激を足してやらんと……!)
経験者である私は分かっていた。このまま放置すれば、こうじの身体は完全に冷め、この完璧に仕上がっていた狂熱の空間は一気に終わってしまう。今すぐその生白い肌に触れ、さっきの「最高のもてなし」を再び注ぎ込んで、もう一度奮い立たせてやりたかった。
けれど、私の右手は動かせなかった。
そこには、私たちがここまで破らずに守り続けてきた、「ジャンケンに俺が勝たなければ触れてはならない」という絶対のルールがある。
それだけではない。私の理性が、もう一つの冷徹なブレーキをかけていた。
これは、元を正せば中学生の男子同士の、ただの悪ふざけの延長線上に過ぎないのだ。ジャンケンという「ゲームのルール」という建前(言い訳)があるからこそ、こうじも羞恥心を快楽にひれ伏せ、自分のすべてを曝け出して、私のタオルの奥にまで手を伸ばしてきた。
もしここで、私がルールを無視し、いかせるためだけに一方的にこうじのチンコを刺激して、そのままいかせてしまったら――。
まだ性に対しても未成熟な中学生のこうじにとって、それはもう「ゲームの罰ゲーム」ではなく、明確な、一線を越えた「そっちの意味の行為」になってしまう。そうなれば、こうじの中に決定的な誤解と拒絶が生まれ、明日からの普通の友達関係すら完全に崩壊しかねない。
いかせたい。でも、ルールを破って手を出すわけにはいかない。
小さくなりかけているこうじの塊をじっと見つめながら、私は一刻も早く、自分が勝つための「次のジャンケン」を求めて、震える右手を静かに握り直した。