あの放課後の図書室で、チャイムの音に遮られて届かなかった場所。
私たちは裏山の秘密基地で、こうじが言い出した「ジャンケンの罰ゲーム」という建前を盾にして、その続きを始めていた。
私はすでにオナニーを経験していた。自分の手がそこを擦ればどうなるか、その先にある快感の正体を知っていた。
けれど、幼馴染のこうじは、オナニーという行為そのものをまだ何も知らなかった。
「最初はグー、ジャンケン、ポン!」
無言のまま、勝ったり負けたりを繰り返す。
最初はジャージの上からの扱き合いだった。10分近くそれが続いた頃、何回目かのジャンケンでこうじが負けた。
(……そろそろかな)
経験済みの私には、お互いの熱量でもう次の段階へ進むべきタイミングなのが分かっていた。私は無言のまま、こうじのジャージのウエストのゴムを引っ張り、その隙間から内側へと一気に右手を滑り込ませた。
「っ……!」
こうじの身体がビクンと大きく跳ね上がった。
図書室のときは拒絶されたけれど、今はルールがある。こうじは地面に突いた両手にギュッと力を込め、されるがままに無言で私の手を下着の上へと受け入れた。
布地一枚を隔てただけのこうじの棒は、驚くほど熱く、ドクドクと脈打っていた。
そこでも私は何も言わず、ブリーフ越しにその熱い芯を根元からしっかりと握り締め、ゆっくりと上下に扱き始めた。
スルスル、と下着の布地が擦れる音が静寂に響く。
やがて、次のジャンケンで私が負けたとき、今度は私のジャージの中にこうじの大きくない手が滑り込んできた。私のブリーフの上へと彼の右手がたどり着いた瞬間、手のひらを通じて、お互いの生々しい「確信」が伝わってしまった。
私のブリーフのそこは、すでに先走りの熱い液でじっとりと湿っていた。
そして、私が同じように扱き続けていたこうじのブリーフもまた、同じように熱く、ぐっしょりと湿り気を帯びていた。
自分の身体に起きているこの未知の現象、下着を濡らす熱い湿り気の正体が何なのか、オナニーを知らないこうじには分からなかったはずだ。からかい合うような言葉すら一切出ない。お互いにただ無言のまま、相手のブリーフの湿った感触を、己の手のひらでじっと確かめ合っていた。
さらに勝負を繰り返し、またしてもこうじが負けたとき、私は衝動を抑えきれずにこうじのジャージを脱がそうとした。
「……っ、やめろ!」
それまで無言だった空間に、こうじの鋭い声が響いた。私の両手首を力任せに掴む彼の小さな手は、小刻みに震えていた。
「……これ以上は、ダメだ」
普通の友達に戻れなくなる恐怖。それ以上に、自分の制御の効かない身体がどうにかなってしまうことへの、初めての恐怖がそこにはあったのだと思う。
冷水を浴びせられたようになった私だったが、久々に口を開き、低くざらついた声で告げた。
「……負けた方に拒否権は無い」
それは自らルールを作ったこうじへの、絶対的な宣告だった。
こうじは何も言い返さず、諦めたようにゆっくりと手の力を抜いていった。無言で、渋々と私の手に身を委ね、再び地面に両手を突いて俯いた。
私はこうじのジャージを膝のあたりまで押し下げた。
露わになったのは、先走りの熱い湿り気でぐっしょりと色が変わっている、白いブリーフの姿。
今度は私に負けが込み始めた。
ルール通りなら、今度はこうじが私のジャージを剥ぎ取る番だったが、こうじは私のウエストに手をかけることはしなかった。自分がされて怖かったからだけじゃない。オナニーを知らないこうじには、自分から相手を剥き出しにするという発想そのものがなかったのだ。
私は我慢できなくなり、無言のまま、自分のジャージを自らの手で膝まで引きずり下ろした。
こうじは、腕で目を覆うのをやめ、自ら濡れたブリーフを晒した私の姿を、言葉を失ったまま無言で見つめていた。
お互いに同じ無様な姿で対峙したまま、無言のジャンケンは続く。
そして、何度目かのジャンケンでこうじが負けたとき、私は不自由さのなくなった右手をまっすぐに伸ばし、ついに、あの白いブリーフの前開きの隙間へと指先を滑り込ませた。
こうじの身体が激しく強張る。けれど拒否権は無い。
こうじはされるがままに、私の指の侵入を無言で受け入れた。
まだ、全体を剥き出しにしたわけじゃない。ブリーフはそのままだ。
私は前開きの狭い奥で、**「まだ未成熟な、包皮に包まれたままのこうじの亀頭部分」**へと指先を定め、その皮の上から、指先でクリクリと、ピンポイントで刺激を始めた。
「ひぅ……っ、く……」
衣服を挟んでいたときとは違う生々しい手応え。
皮の内側には先走りの液がたっぷりと溜まっていて、指先が動くたびに、皮と亀頭が滑り合い、独特の硬い手応えが伝わってくる。「クチュ……クチュ……」と、狭い前開きの奥から、粘り気のある濡れた音が秘密基地に響き渡る。
こうじは顔を真っ赤にして、腕で自分の目を覆い隠したまま、必死に声を押し殺していた。
その後、私が負けたときも、こうじの指先は私のブリーフの前開きからは侵入してこなかった。ただ、濡れた私のブリーフの上から、鉄の棒のように硬くなっている塊をガチッと掴み、必死になってしっかりと上下に扱うことしかできなかった。中へ指を入れるという行為自体、彼には未知の世界だったからだ。
勝ち負けを繰り返すうち、ついにこうじが先に限界を迎えそうになった。
絶頂が近づくにつれ、負けたときの刺激の時間は数分から数秒へと、自然に短くなっていく。
私の勝ち、こうじの負け。
前開きの隙間から指を入れ、包皮の上から、先走りでぐっしょり濡れた亀頭をクリクリと刺激したとき、こうじの大きくない両手が地面の土に爪を立てるようにして激しくのけぞった。
「ひぅ……っ! あ、アカン、んあッ……!」
いかせることは、いつでもできる。あと数回ここを強く擦れば、こうじは白いブリーフの中にすべてをぶちまけるだろう。
けれど私はそっと指を引き抜いた。先にいかせてしまえば、初めての快感の後に訪れる強烈な冷めで、この無言の魔法が解け、一気に場が白け返ってしまうのが怖かったから。
こうじはただ、無言だった。
「いきそう」なんて言葉は彼には言えない。何が起きるか分からないのだから。
けれど、私の指先には、言葉よりも確かな「限界の合図」が伝わっていた。
包皮の上から触れているその塊の硬さが、内側からの猛烈な圧力で破裂しそうなほど、さらに「みしり」と一段階増したのだ。
鉄の棒のように硬くなった、けれどまだ成長途中の、皮を被った少年の棒の先。
ドクン、ドクンと指先を跳ね返す激しい拍動をブリーフの奥に感じながら、オナニーを知らないこうじの荒い吐息と、私の胸の鼓動だけが、決壊寸前の秘密基地の空気の中に、どこまでも重く張り詰めていた。