お互いの湿ったブリーフの感触に頭をぼうっとさせながら、私たちは無言のまま、さらにジャンケンを繰り返していた。
そして、何回目かの勝負で、こうじがまた負けた。
私の頭の中は、もう完全に焼き切れる一歩手前だった。ブリーフ越しに伝わってくるこうじの熱い湿り気だけでは、もうどうしても満足できなくなっていた。もっとちゃんと見たい、もっと直接、その生肌に触れたい――。
昂ぶる衝動に突き動かされるようにして、私はこうじのジャージのウエストに手をかけると、そのままそれを下へと引きずり下ろそうとした。
その瞬間だった。
「……っ、やめろ!」
それまで完璧な無言を貫いていた空間に、こうじの鋭い声が響いた。
こうじは地面に突いていた手を瞬時に動かすと、私の両手首を上からガシッと力任せに掴み取り、ジャージを脱がそうとする私の動きを、文字通り必死になって食い止めた。
掴まれたこうじの小さめの手は、驚くほど強く、そして小刻みに震えていた。
「……これ以上は、ダメだ」
声は低く、けれどこれまでにないほど頑なだった。
目を合わせると、こうじの瞳には、恥ずかしさと、何か決定的な一線を越えてしまうことへの恐怖が、はっきりと浮かんでいた。
ジャージを穿いたまま、その中に手を滑り込ませて、ジャンケンの罰ゲームとしてブリーフ越しに触り合う。それは、こうじにとって「ただの悪ふざけ」と言い張れるギリギリの範疇だった。
けれど、服を脱がされ、自分の剥き出しの身体を晒してしまうことは、その「ふざけ合い」という言い訳が一切通用しなくなることを意味していた。それをやってしまえば、もう明日から普通の友達には戻れなくなる――。
こうじの強い拒絶に触れて、私の頭にも、冷や水を浴びせられたような感覚が走った。
私の手首を掴んだまま、こうじは荒い息を繰り返している。
ジャージを脱がされそうになって乱れた衣服の奥で、彼の湿ったブリーフは今もドクドクと激しく脈打っていたけれど、私たちはそのまま、お互いに動けないまま固まっていた。どんよりとした曇り空の下、秘密基地の空気は、これまでとは全く違う、ひりつくような緊張感に支配されていた。
「……負けた方に拒否権は無い」
私の口から出たその声は、自分でも驚くほど低く、ざらついていた。
こうじの身体が、一瞬ピクリと強張る。
私の手首を掴んでいた彼の小さな手に、一瞬さらにギュッと力がこもったけれど、それもほんの数秒のことだった。
こうじは、何も言い返さなかった。
ただ、じっと私の目を見つめ返したあと、悔しそうに、そして諦めたように、ゆっくりと私を阻んでいた手の力を抜いていった。
彼が自ら言い出した、ジャンケンというルール。
「負けた方が言うことを聞く」。その大義名分を突きつけられてしまえば、ここで頑なに拒み続けることは、自分たちが必死に守ろうとしていた「ただの悪ふざけのノリ」という建前そのものを壊してしまうことになる。
(これはジャンケンの罰ゲームだから、断れないんだ。仕方がねえんだ――)
こうじの瞳の奥に、そんな自分への言い訳と、引き返せない一線への恐怖が混ざり合った、複雑な光が揺れていた。彼はそのまま、無言で、渋々と私の次の動きを待つように、再び地面に両手を突いて俯いた。
私はもう一度、こうじのジャージのウエストに手をかけた。
今度はもう、抵抗する手は伸びてこない。
ゆっくりとジャージを引きずり下ろしていく。衣服が擦れる摩擦の音が、お互いの荒い吐息の中に響く。
太もものあたりまでジャージが下がり、ひんやりとした山の空気に、こうじのすべすべの無毛の太ももが剥き出しになる。
そして、その中央に露わになったのは、さっきまでお互いの手のひらで散々扱き合い、先走りの熱い湿り気でぐっしょりと色が変わっている、あの白いブリーフの姿だった。
服の遮りがなくなったその場所は、衣服の中に隠されていた時よりもずっと生々しく、こうじの幼いペニスがブリーフの前開きの少し上、ウエストのゴムの下を押し上げるようにして、ドクドクと激しく波打っているのがハッキリと目に見えた。こうじは耳まで真っ赤にして、顔を極限まで背けながら、激しい羞恥心に身体を震わせていた。