こうじから「日曜日、お前の家に行っていい?」と言われたものの、私は少し考えていた。私の部屋で続きをするには、親がいつ不意に部屋に入ってくるかもしれないリスクがある。
そこで私は、日曜日がやってくる前の平日の学校で、こうじに別の場所を提案してみた。
「日曜日さ、家じゃなくて、裏山行かね?」
田舎育ちの私たちにとって、裏山は格好の遊び場だった。木々が生い茂る斜面を少し登った先には、小さい頃から少しずつ手を加えて作った自分たちだけの「秘密基地」のような場所があった。
「裏山?……おう、いいよ」
こうじは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに私の意図を察したのか、小さく頷いてオッケーしてくれた。
その提案に乗ってきたこうじの表情には、図書室のときのような、言葉にできない独特な緊張感が漂っていた。
学校の教室や廊下では、私たちは相変わらず「いつもの幼馴染」として過ごしている。けれど、お互いの頭の中は、次の日曜日に裏山のあの場所で何が起きるのか、そのことで一杯だった。
図書室ではブリーフの上からしか触れ合えなかったし、前開きに指をかけたところでチャイムに邪魔されてしまった。でも、今度の舞台は裏山の秘密基地だ。チャイムも鳴らなければ、誰かが入ってくることも絶対にない。
誰も邪魔者のいない2人きりの時間が、すぐそこまで迫っていた。