地方局の新人アナウンサー、カズト(24歳)。入社半年、爽やかな笑顔とスラッとした長身で、すでに視聴者から「イケメン好青年」と呼ばれていた。
今日のロケは、秘湯で知られる温泉。カズトはは初めての単独中継に張り切っていた。
「みなさん、こんにちは! 〇〇テレビの佐藤カズトです。ここは、源泉かけ流しの極上湯で──」
温泉に腰まで浸かり、上半身裸でレポートするカズト。カメラマンから渡されたタオルは、なぜか小さくて薄いスケスケのやつ。白い生地が濡れると、ほとんど透けてしまう。
カメラマンの田中は、50代後半のベテラン。普段は無口だが、ゲイの噂がある男だ。今日は妙カズト心にズームを調整している。
悠真は一生懸命に続ける。
「このお湯、肌にすごく優しくて……あ、ちょっと熱いですね! でも気持ちいいです!」
体を動かすたびに、小さなタオルがずりずり滑り落ちそうになる。濡れてぺったり肌に張り付き、下半身のラインがくっきり……。カズトは気づかず、笑顔でカメラ目線。
田中は、レンズ越しにじっと悠真の体を舐めるように見つめ、時折小さく息を吐く。
「カズトくん、もうちょっと腰を浮かせてみて。湯の流れが見えるアングルで……」
「え、こうですか?」
カズトが素直に腰を浮かせた瞬間──タオルがぷるんとずれて、ほんの一瞬、決定的なところがチラリ。
「わっ!」
慌ててタオルを直すカズト。顔を真っ赤にしながらも、プロ意識で笑顔を保つ。
「は、はは……温泉は本当に気持ちいいですね! みなさんもぜひお越しください! 〇〇テレビ、でした!」
撮影の後、カズトははため息。
「田中さん、さっきのタオル……わざと小さいの選んだでしょ?」
田中は、ニヤリと笑ってカメラを磨きながら、
「いやあ、新人くんのサービス精神、素晴らしいよ。また次もよろしくね」
カズトは苦笑いしながらも、なんだか少しドキドキしていた。