だが、彼は僕の目を見つめ、迷うように一瞬ためらった後、意を決したように再び顔を下げた。そして、ケンさんは右手で僕のチンコを掴むと、わずかに開いた唇を僕の亀頭にそっと押し当てた。すると若干戸惑いながらも、その唇がゆっくりと僕の亀頭を包み込んでいった。
「ん……っ」
熱い、そして柔らかい感触。ケンさんの口の中の温度が、ダイレクトに伝わってくる。最初はぎこちなく、ただ咥えているだけ。でも熱い唇と舌が僕のペニスを包み込み、口がゆっくりと上下に動き始めた。不慣れな動きは、時折、彼をむせさせる。ゴホッと小さな咳が漏れ、僕のそこが一度口から離れる。
「ゴホッ、ゴホッ」
「無理しなくていいよ」
僕は彼の背中に手を回し、優しく声をかけた。だが、ケンさんは首を横に振った。彼はもう一度、大きく口を開き、今度は少し深く、それを頬張った。彼の頬が限界まで膨らむのがわかる。そしてまたゆっくりと、上下に口を動かし始めた。時折深くまで咥え込みすぎて「ゴホッ」と小さく咽せそうになるが、それでも彼は止めようとしない。
初めは歯が当たっていたが、徐々に、彼の動きは滑らかになっていった。彼は無言で口を動かし続ける。舌が絡みつき、吸い付くような感触が、僕の全身を痺れさせた。彼の喉が上下するたびに、快感が波のように押し寄せる。
僕はケンさんの頭をそっと撫でた。彼の髪は汗でしっとりと濡れ、額には汗が滲んでいた。その勢いのまま、僕はケンさんの頭を優しく押さえつけ、さらに深くそれを彼の口の中へと沈めた。「ケンさん、気持ちいいよ…」口を上下すると、「ジュボジュボ」と生々しい音が何度も部屋に響く。
僕のチンコが彼の口の中で熱を帯び、硬く脈打つ。ケンさんは僕の視線を感じたのか、口を離し、とろけるような目つきで僕を見上げた。そしてその時、彼のイキリたったペニスの先端から透明な液体がシーツの上に滴り落ちているのが見えた。ケンさんも完全に興奮しているようだ。
ちょうどその時だった。一気にシーンと静まり返った部屋に、リビングから何やら音がかすかに聞こえてきた。その音にハッとした。そうだ、部屋の扉が少し開いたままだった。そして、秘書の青木君がリビングで待っているんだっけ。途端に、背筋を冷たいものが駆け上がった。ぼんやりしていた意識が、一気に現実へと引き戻された。
ちょと戸惑いながら、リビングから聞こえる音に、ちょっと違和感を感じる。それは、シャカシャカ、シャカシャカと、何かを擦り合わせるような音。その音がどうも奇妙だった。聞き覚えのある、けれどこんな状況で聞こえるはずのない音。
僕は思わずケンさんと顔を見合わせた。僕の目には、明らかな疑問が浮かんでいた。「シコってる?」僕は口パクで彼に尋ねた。ケンさんは僕の視線を受け止めると、小さく苦笑いを浮かべた。その表情は、困惑と、ほんの少しの呆れにも似たものだった。そして、何を思ったのか、突然、開いた扉の向こう、リビングに向かって声を張り上げた。「青木君、シコってんのぉ?」すると、先ほどまで聞こえていたシャカシャカという音は、ぴたりと止んだ。