するとケンさんが僕に近づき、またぎゅっと抱きしめてきた。そのまま僕をベッドに誘う。まるで「続きをしよう」とでも言うかのように。僕は促されるままベッドに横たわると、彼はさっき着たばかりの僕の服を脱がし始めた。
「ケンさん、また彼女さん帰ってきたらどうするんですか?」僕が尋ねると、ケンさんは僕のパンツを脱がし、床に放り投げながら言った。「いいよ、あいつは今日は帰ってこないよ」。その声には、微塵も未練がないようだった。
「大丈夫なんですか?」重ねて聞くと、ケンさんは僕を抱き締めながら、淡々と言い放った。「あいつ、他にも男がいるんだ。俺はあいつのことはどうでもいい。あいつは俺の金目当てに住み込んでるだけだから」。まるで自分に言い聞かせるように、彼の言葉は続いた。どうやら、ケンさんと今の彼女はクラブで知り合ったらしい。付き合って半年ほどだというが、彼女は金目当てで転がり込んできたのだと。彼は彼女を愛しておらず、彼女も彼を愛していないと言う。だから体の関係をたまに持つくらいで、恋人らしいことは特にしていない。僕には彼女というより同居人のように思えた。じゃあ彼女と言うより同居人なのかと思った。
そして、僕らはまたしばし抱き合ってから、彼は「今日はもう遅いから寝よう」と言った。部屋の電気を消すと、そのまま僕に背を向けて横になる。僕の胸には、複雑な感情が渦巻いていた。あの女は本当は彼女じゃない?ボクとはキスした?今ケンさんは僕のことをどう見ているんだろう、と。まあ、あまり深く考えないようにしよう。そして僕は彼の背中にそっと腕を回し、抱きしめた。すると、彼もゆっくりとこちらに身体を向けた。暗闇の中で、お互いの視線が絡み合う。そして、僕たちは唇を重ねた。深く、そして切ないキス。お互いの温もりを確かめ合うように抱き合いながら、僕たちはそのまま眠りについた。
朝が来た。カーテンの隙間から、優しい朝日が部屋に差し込む。時計を見ると6:30。隣にはケンさんが眠っていたが、僕が目を覚ましたのに気づくと、すっと腕を伸ばして僕を抱き寄せた。「起きた?」
彼の声はまだ少し寝ぼけていて、それが妙に心地よかった。彼の熱い胸板に抱かれ、安心感がみなぎる。昨夜の出来事が、夢ではなかったと肌で感じた。そしてケンさんは「ユウセイ好きだよー、ユウセイ、、、」ケンさんはそう言って、甘えるように僕の頬に擦り寄る。自然と視線が絡み合い、僕たちは再び唇を交わした。そしてまた、お互いの温もりを確かめ合うように抱き合いながら、僕たちは知らないうちに二度寝してしまった。次に目が覚めた時、時計は8時を指そうとしていた。
「ケンさん、もう8時だよ。大丈夫?」
僕が声をかけると、隣でスヤスヤ眠っていたケンさんは、焦る気配もなく僕をさらに強く抱き寄せた。「いいの、今日は仕事行きたくない」
いつもはきっちりしている彼が、こんな風に甘えてくるなんて。意外な一面に、僕の胸は温かくなる。彼のあそこは朝勃ちで僕の太ももにビンビンに当たっていた。彼は31歳。偏見かもしれないけれど、30歳を超えたらそんなに精力は強くないものだと思っていたのに。
「ケンさん、ビンビンだよ」
僕が思わず口にすると、ケンさんはくすっと笑って、僕の首筋に顔を埋めた。
その時、玄関のチャイムが鳴った。僕は反射的にケンさんを見上げた。まさか、もう彼女が帰ってきたのか? 心臓がドクン、と大きく跳ねる。だが、ケンさんは全く動揺していない。立て続けに何度かチャイムが鳴り、次に彼のスマホがけたたましく鳴り出した。ケンさんは画面を一目見ると、それをまた無造作にベッド脇に放り投げた。
「大丈夫なの?」
僕はあきれた声で尋ねた。彼は僕を抱き寄せたまま、大したことではないかのように、平然と答えた。「ああ、今日は秘書が迎えに来ることになってたんだ」それだけ言って、彼は僕を抱きしめた腕の力を緩めない。ええ本当にいいのかな。僕が心配していると、寝室の扉の向こうから声が聞こえてきた。
「部長、時間ですよ」