お互いに荒い息をして、ベッドに並んで横たわる。全身が水でもかぶったように汗だくだし、シーツも汗やらローションやらでびっちょり濡れていた。でも激しいセックスの余韻で、シャワーを浴びにいく気にはならなかった。
「すごかった、、」
ようやく息が落ち着いてきたショウが、独り言のようにつぶやいた。
「ショウくん、バイだったの?」
「わかんない。女とセックスはしたいし、恋愛も女としたい。でもずっと、男に抱かれたいって気持ちがあったんだよね」
「これまでに男としたことはあるの?」
「うん。高1のときに、、」
ここから先はショウの体験談だ。
彼が高校1年のとき、2つ上に仲のいい男の先輩がいた。男子比率が高い工業高校でも有名になるほどのすごいイケメンだったが、女遊びがハデな人で、他校の生徒や社会人の女など、かなりの女を食いまくっていたらしい。
ショウはかわいい後輩というポジションで先輩の遊びに付きあうことが多く、先輩のセフレと3Pするようなこともあったそうだ。
だが、ある日、先輩の家に呼ばれて2人きりになったときに、先輩から迫られてフェラをされてしまった。
最初はそれだったが、次に会った時はアナルをいじられ、さらに次の日にはセックスする関係になったという(ちなみに先輩は親戚の空き家を借りて1人で下宿していたそうだ)。
体験したことのない痛みや感覚に混乱したが、イケメンの先輩が自分を女のように抱いて、自分の体で感じている様子に、ショウは味わったことのない興奮を覚えたらしい。
セックスの最中に『おまえが一番かわいい』と囁かれたときに、先輩に抱かれるなら、もう女となんかしなくていいとすら思ったそうだ。それ以来、女と遊ぶことは本当になくなって、先輩とのセックスに没頭していたという。
でも、その頃には先輩は卒業が迫っている時期で、ほどなくして離れた地方の大学に進学してしまった。
それから、自分を抱いてくれる男とどうやって出会っていいかわからず、手に入る女とのセックスでひたすら欲望を紛らわしていたらしい。
そして、おれは顔がそっくりなわけじゃないが、先輩と雰囲気が似ていて、アパートで一目見た時から気になっていたそうだ。
最初に銭湯で見かけた後、何日も通いつめたのは裸のおれを見ることを狙っていたからで、家族風呂に誘ったのも、最後におれの体をしっかり目に焼きつけておきたかったからだと言う。
だから、おれが男を抱けるとわかった瞬間、気持ちを抑えることができなかったらしい。
おれは先輩の身代わりか、と思った。
だが、そこまで話したショウはおれにそっと抱きついてきた。
「ストーカーみたいな真似してごめん。でも、コウさんのセックスは先輩よりずっと良かった。オレ、先輩とした時にこんなに声出さなかったし、頭が真っ白になるような感覚もなかった。だから、これで終わりにしたくない。また、おれと会ってくれる?」
「会うよ。絶対会う。抱かれたい時にはおれを呼んで」
「ありがとう、、コウさんと会えたのが、ほんと奇跡みたい」
その台詞がクサいと思ったのか、ショウはちょっと照れくさそうに笑って、おれにキスを求めてきた。抱きあった状態のままで、しばらくするとショウの寝息が聞こえてきた。
シャワーは朝になってから浴びた。汗でびしょびしょになったシーツも洗濯した。外はよく晴れていた。
その日は土曜だったので、一緒に外で食事をし、そのまま近場にドライブに行った。
暗くなって帰ってきたあと、ふたたびショウとセックスをした。
前の晩はおれの欲望を叩きつけるような抱き方だったが、その夜はショウに快楽を与えることだけを考えるセックスをした。ショウ切なそうに喘いで、最中に何度もキスを求めてきた。
それから、お互いに欲しくなったときに、体を求め合う関係が続いている。
この関係をどう名づけていいかわからない。ショウはあくまで女と恋愛したいと言っていたから、こちらの世界に引っ張り過ぎてはいけないような気がしている。
それならセフレと言っていいのかもしれないが、ショウが求めてくるのは恋愛が盛りがった恋人どうしのように、甘くて激しいセックスだ。
現在進行中のこの関係に進展があったら、また書いてみたいと思う。
コメントを下さった方、ありがとうございました、
【終わり】