「うわーすげー」
家族風呂に入るなりショウが言った。
10ほどある家族風呂は部屋ごとに作りが違っていて、おれ達が入ったところは純和風の檜風呂だった。床はなんと畳敷きだ。
ショウは脱ぎ捨てるように全裸になり、勢いよく体に湯をかけてから風呂に飛び込んだ。自分の体の魅力を意識していない、ノンケのこういうところがいい。
おれもすぐ後に続いて入り、ショウと会話を弾ませる。
お互いがしている仕事のこと、地元のこと、趣味や最近観ているアニメのことなど、、。
「そういえばさ、コウさん(おれの名前)っていくつなん?」
ふいにショウがそう聞いてきた。
「おれ?、、32」
「32? マジ? オレ普通に25、6くらいと思ってたよ。若っ」
「18から見たら32とかオッサンだよなあ。引いた?」
「引かない引かない! 32でそのルックスとか逆にかっこいいやん」
自画自賛するようだが、ショウから言われたことなのでそのまま書く(笑)
「ところで、30代ってやっぱ性欲フツーにあるん?」
「あるに決まってるわ(笑) 10代20代のときから全然変わらんし」
「そうなん? オレ性欲やばくて、高校の頃とかマジで毎日ヤッてたよ。休みの日は朝昼晩の3回全部違う女としたこともあるし」
「高校生とかそんな感じだろうなあ。彼女とかいなかったの?」
「いたけどマジで毎日求めてたから、私のことセフレと思ってない?とか言われて」
「もう別れてる?」
「うん。そいつが部活の遠征で1週間いなかった時、オレ我慢できなくて他の女とヤッちゃってさ。それがバレて別れた。それから特定の女つくるのめんどいと思って、ヤれる女としかしてない」
「よくそんなに相手見つかるね。ショウくんめっちゃイケメンだしなあ」
「コウさん東京でしょ? ここ田舎だし未成年が遊べる場所マジでないから、セックスが娯楽なんよ」
「そうなんだ」
「まあ、一部のヤリチンヤリマンがめっちゃ遊んでるだけなんだけど(笑) そんで、コウさんってさ、セックスするならこういうのがタイプってある?」
ショウくん、と言いたいのをぐっと飲み込む。
「年下で、、きれいな子かな。なんか普通すぎるね」
「オレくらいの年齢の子っていける? ガキすぎるってことない?」
「全然いけるよ」
「そっかー。じゃ、こういうプレイだけはダメとかはない?」
「うーん、、とくにないかな、、」
「アブノーマルなのも大丈夫?」
「そう、だね」
ショウは他愛もなく聞くように装っているが、どこか真剣味を帯びているのが感じられた。なんでこんなことを熱心に聞くのかなと、その時はちょっと疑問に思った。
「あ、やべ。時間ねえじゃん」
ショウが脱衣場の壁にある時計を覗き込んで言った。家族風呂には1時間の制限があり、話し込みすぎたせいで残り時間が少なくなっていた。まだ体をしっかりと洗っていなかったのだ。
洗面用の蛇口は1つしかなく、おれが先に使わせてもらうことにした。
やや焦りながら体を石鹸で洗っていると、ショウがふいに湯船から上がって、おれの後ろに座った。
【続く】