俺は175.65.30代前半のリーマン。
都内の会社で働いているが、今は西のはずれのK地方にある事業所に出向している。
人口10万人に満たない勤務地の町は、友達から「左遷じゃね?」と心配されるような田舎だ。
でも地方勤務はせいぜい2、3年だし、本社の激務から開放されて、何も忙しくないスローライフな生活を送れる現状が気に入っている。
でも、やはり田舎は男との出会いがない。
都内ではアプリを使って毎週のように若い子とセックスしてたけど、ここで開くとほとんどおっさんの顔しか出てこない。若いのもいるっちゃいるが、俺好みの前髪系ではない。
たまに会議なんかで東京に戻るときに、たまった性欲を思い切り発散させることで満足していた。
とは言え、まったく目の保養がないわけじゃない。
こちらではアパートを借りているが、隣の部屋に超かわいいイケメンが住んでいた。
長めのマッシュでハイトーンブラウンの髪色。顔は平野紫耀に似ているけど、平野くんを少しやんちゃっぽくしたような雰囲気だ。
身長は170を少し越えたくらい。スリムな体型だけど、夏になって薄着になると、細いだけじゃなくて引き締まった筋肉がついている感じがうかがえた。
見た目はせいぜい16、7歳くらいにしか見えず、高校生が一人暮らししているのかと思ったが、毎朝作業着を着て軽自動車に乘って出勤しているところを見ると、卒業している年齢なのは間違いなさそうだった。
出勤と帰宅の時間がかぶるのか、彼とは廊下で顔を合わせることが多い。
ニコリとする感じではないが、「…こんちわ」「…こんばんは」と、いつも彼のほうから挨拶してくれる。
作業着に市内の製材工場のロゴがあり、どうやらそこで働いているらしかった。
そして、やはりモテるらしく、時々部屋に女を連れ込んでいる。
なんでわかるのかと言うと、あまり厚くない壁からアレの声が聞こえてくるからだ。
毎回叫ぶようになる甲高くなる女の喘ぎと、早いテンポで軋むベッドの音から、彼はかなり激しいセックスをするようだった。
女の声に混じって、時折ため息のような彼の声も漏れてくる。
それを聞きながら、激しく腰を振る彼の姿を想像して、俺も自分のベッドでオナニーすることもあった。
やっぱノンケだよな、と残念な気持ちを抱えながら。
ところが、ある夏の日、俺は彼と意外な場所で会うことになった。
【続く】