「おいおいおい。何度言ったらわかるんだ?考えて仕事しろって言ってんだろ?」
他の従業員たちが見て見ぬ振りをしている中、オレは上司の前に立たされ、上司からの耳の痛い言葉を浴びせられる。
「あのさぁ、働き始めてから何年?こんなんで先方が納得してくれると思う?そろそろわかろうよ。」
「……スミマセン。」
「その謝り方もなぁ。まるで俺が悪いみたいじゃんか。何?気にくわない?」
「いえ、そんなことは……」
「だったらもっとはきはき話してよ、指導する気もなくなるしさ。」
「すいませんでした…明日までにやり直します。」
そういってオレは上司から突き返された資料をもって自分のデスクに戻る。
そして、戻ったデスクにも、まだ処理しきれてない資料が山のように積み重なってる。
……もう、わけわかんねぇよ。。。
最初はよかった。
会社の規模は大きくないけれど、自分の希望する職種ができる会社に内定をもらった。
周りからはもっと大手に行けと言われたが、就職先は会社の規模よりもやりたいことができるかを基準に選びたかったので、今の会社を選んだ。
スタートは良かった。
やりたい仕事につけたのだからと、多少のサービス残業などは気にもとめず、バリバリと仕事をこなしてた。
でも、いつの間にか一人ではとてもこなせないような大型案件を任されたり、本来であれば自分の仕事ではないはずの仕事まで回ってくるようになった。
残業や休日出勤が増え、一人では無理だと言っても、君なら大丈夫とか、人件費がとかうう言葉でお茶を濁され、状況は悪化する一方だった。
「先輩、まだ残るんすか?」
後輩のこの質問も、本心で心配してくれてるのか、ただの社交辞令なのかすらわからん。
そんな捻くれた考えすら持ってしまうほど、精神的にも落ちぶれていた。
「あぁ、もうちょっとだけな。お疲れ。」
「そっすか。じゃ、お先です。」
希望して入ったはずなのに……
上司に怒られ、取引先に怒られ、頭下げっぱなしで何してんだろ。
なんかのドラマであった、部下の手柄は上司のもの、上司のミスは部下のミス…だっけ……あれって現実なんだな。
そんな中で携帯をいじってたら出てきた大学の卒業式の時の写真。
スーツ姿のオレの横で、ピースしながら笑顔を見せるカズマ。
あの頃は楽しかったな……会いてぇな…。
『久しぶり。お盆規制しようと思ってるんやけど、ちょっとだけ時間作れん?』
駄目元でメールを送ってみた。
すると、驚くほど早いスピードで返信が来た。
「マジですか!?じゃ、土曜日は?楽しみにしてます!」
やっぱオレら、運命だ。
そうしてオレらは、夏休みに久しぶりの再会をしたのだ。