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目を開けると林田さんがすこし戸惑った顔をしていた。
でもそこには軽蔑のような否定的な要素はなかった。
驚いたようなフリをしてみせる。
「遅漏?」
小声で俺をちゃかす林田さん。
違いますよ。
周りが起きても困るので
声にはせず顔の表情で否定してみせる俺。
すると次の瞬間、林田さんの顔が迫ってきた。
反射的に目を閉じると右耳に生暖かさを感じ、
「他人に触ってもらった方が早くイクかもよ?」
その言葉でまた胸の高鳴りが加速する。
俺も興奮し過ぎて大胆にも林田さんの右手を俺の股間に、
俺の左手を林田さんの股間に持っていった。
一瞬、驚いた表情を見せた林田さんだったが実のところ草食系ではなく肉食系だった。
いきなり俺のをすごい激しくフェラし始め、
林田さんも自分で下半身丸出しになり俺に力強く握らせた。
息が乱れた林田さんがまた俺の顔に近づく。
俺は林田さんの眼鏡を外して唇を重ねた。
重なったのは最初の一瞬だけで、あとは絡みつくような舌使いでキスをしてくる。
林田さんは見た目によらず乱暴だった。
そのギャップがまた俺を興奮させた。
喘ぎ声こそ互いにあげないが、荒れた息遣いが余計にエロさを引き立てていた。
時間にして15分もあっただろうか。
互いにベッドを汚さぬように口内射精をして果てた。
真夜中の廊下を歩き、洗面台でうがいをした俺たちは電気を消した洗面台で、巡回する看護婦にばれぬよう何度も激しいキスをした。
退院するまで林田さんと俺は過激な院内セックスを繰り広げた。
終わり
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
またあの分厚い眼鏡で目が小さくなった性欲のなさそうな顔でやらしく言いさって行った。
言われるままにオナニーを興じていたが、さっき興奮し過ぎたせいか、周りに人が寝ている緊張からか、どうもなかなか抜けない。
そうこうしてるうちに12時が近づく。
ふと俺の奥深くに眠る変態な性癖が目を覚ます。
林田さんにオナニー見られたい。
ボクサーもスウェットも足首まで下げ、林田さんに股を向ける体制で12時を待った。
病室の扉がゆっくりと開いた。
だが長身の林田さんの影ではない。
とっさの判断で二つ折にしていた掛け布団を被ると看護婦さんが点滴の交換にやってきた。
間一髪丸めたトイレットペーパーもロールも布団の下。
馬鹿みたいに心臓が高鳴った。
そのあとでもう一度扉が開く。
林田さんだ。
気付かないフリをして俺は目を閉じ、感じている顔を作ってチンコをしごく。
確実に見られていると分かりながら数十秒、目を開けるのを我慢した。
すると腹筋に人の手が触れた感覚が伝わった。
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
何事もなかったかのように入浴を終えて林田さんにお礼をした。
まだドキドキしていた。
別れ際、
「消灯過ぎたらええもん持ってたるから待っとき」
と林田さんから声をかけられる。
エエモン?
何かやらしいものを期待してしまう馬鹿な俺。
消灯まで下半身が疼いて仕方なかった。
消灯時間から随分と過ぎ、周りが寝静まった頃。
うっすらオレンジ色の豆球が光る病室の薄いカーテンの仕切り越しに人影が見えた。
ひょこっと顔だけの林田さんが現れて小声で、
「ほれトイレットペーパー、あとで回収しに来たるから12時くらいにベッドの足元置いとき。」
え?トイレットペーパーかよ。
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
「どないー?お湯熱ない?大丈夫?」
「大丈夫です」
振り向き様にそう言って驚いた。
眼鏡を外した林田さんはかなりのイケメンだったからだ。
というかどんだけ度の強い眼鏡をかけたらそんなに落差が出るんだ。
思わず声に出してツッコミたくなる。
生田斗真なんて言ったら大袈裟だけど、ジャニーズに居てもおかしくない整った目鼻立ち。
林田さんあんたコンタクトにしたほうがいいよ。
あまりに突然の男前出現に状況は一辺にいやらしい雰囲気に。
そして俺のものは勃起していた。
「身体洗うでー」
相変わらずのほげた口調で俺に話しかける林田さん。
いいえ駄目です。
今湯舟から出れません。
またもや「何してんの?」とでも言いたそうな顔で俺を見る林田さん。
てかその目が興奮するんだよー。
林田さんが立ち上がり、俺を見下ろすと不敵な笑みを浮かべた。
「えー?なんで今勃起しよん?やらしいなー笑」
「すんません」
「時間ないから後で抜いときー笑、とりあえず体洗っちゃおう」
勃起したまま自分で身体を洗う
林田さんは俺に気をつかってか、打って変わって何も話しかけてこない。
気まずい…。
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
「ええ身体してんなー何かスポーツしてんのー?」
俺が順々に脱いでいく横で、相変わらず間延びした話し方の林田さんが尋ねる。
「テニスです」
「真っ黒やもんなー、いくつ?」
「18です」
「えー?急性アルコール中毒やんな?あかんやん飲んだらー」
この人、間延びしてるんじゃない、ほげてる。
「サークルで仕方なく」
付き合ってあげているのに、この林田という優男は会話を中断した。
俺がまっ裸になった時点で。
「あ、大橋くん早う入らな時間あと10分ちょいやわーヤバいヤバい」
さっきまで丸椅子に悠長に腰かけてたくせに急に俺を追い越し、浴槽にお湯を張る。
「どうせ1回ごとにお湯抜くから、かけ湯せんともう入りー」
言われるまま林田さんに背を向けて風呂に入る。
湯気が浴室に充満する。
林田さんは手摺りに腰かけて、相変わらず俺に話しかけるのをやめようとしない。
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
「あのーひとりで大丈夫ですよ」
今度は困った風に言ってみた。
「あ、付き添うように言われてるから。」
それはさっき聞いたよ。
すると林田さんが急にそれらしいことを言い始める。
「ずっと横になってたし、風呂入って血の巡り良うなって、万が一ふらついて倒れでもしたら困るやろー。だから。」
どうせ見られるならもっと体育会系の爽やかお兄さんがいいんですけど。
だから。の強調に若干苛立ちながらも諦めた俺は渋々脱ぎはじめた。
林田さんの熱い視線を横目に。
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
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イェーイ
- 10/5/25(火) 15:04 -
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<DoCoMo/2.0 N02B(c500;TB;W30H20;ser353151030500189;icc8981100020500964598F)@proxy3135.docomo.ne.jp>
「大橋さんやんね?要らんかもしれんけど、一応入浴補助するように言われてんやわー。林田ですーよろしくねー。」
色白で長身の癒し系な顔をしたその人は、顔に似合わない低い声と間延びした話し方で俺にそう言った。
林田さんから入浴の説明を一通り聞き確認される度に返事をしていたが
説明は遥か遠くで音がする程度でしか聞こえていなかった。
入浴補助?ホジョ?
ゆるゆるな脳みそしか詰まっていないであろう俺の頭脳は補助の意味を必死に探る。
気付けば意識が飛んでいた、林田さんが何か言った。
多分「自分で脱げるやんなー?」と。
いやいや点滴を外せば何の支障もないですから。
なんなんだその無意味な質問は。
「はい、大丈夫です、ありがとうございます」
人が2人も立つにはあまりに狭い脱衣所で俺は草食系男子もとい林田さんが出ていってくれるものだと思い、視線を合わせたのだが、
いっこうに出ていくそぶりを見せず、むしろ「何してんの?」と言わんばかりの疑問符がついた顔で俺を見る。
なにこれ?
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
大学に入学し初めてのサークル夏合宿で、毎年恒例だと言う限界飲みに挑戦させられ、
見事に急性アルコール中毒になってしまった俺は夏休み早々入院生活を送ることになった。
24時間の持続点滴に床上安静を言い渡され、相部屋は白髪の御老人さんばかり。
遊びたい盛りのお年頃な俺には3日も過ぎたあたりから気がおかしくなりそうだった。
そんなとき、看護婦さんから
「勇人くん暑いし汗かいて気持ち悪いやろ?点滴1回外してお風呂入る?」
と思いがけない提案が。
ずっと清拭だったし、正直トイレに立つのでさえ気分が悪くなったりしていたから入浴なんて考えてもいなかった。
まぁ提案されるってことは大丈夫なんだろうと入ることにしたのだが、
浴室に向かってみてクリビツー。
若い男の看護士さん(看護助手かもしれない)がにっこり笑顔で俺を待っているではないか。
ナニ?ドユコト?
<KDDI-SH3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.304 (GUI) MMP/2.0@07002100919104_me.ezweb.ne.jp>
<DoCoMo/2.0 F03A(c100;TB;W30H22;ser353716021323476;icc8981100020711483222f)@proxybg010.docomo.ne.jp>
凄くいい内容でした。お二人が今後も仲良くやっていくことをお祈りします。
<KDDI-CA3A UP.Browser/6.2.0.13.2 (GUI) MMP/2.0@07021440418025_vc.ezweb.ne.jp>
翼君
声掛けたいけど掛けられない・・・
声掛けそびれていたんだね。
続きお願いします。
文章も読みやすいし、2人の関係気になります
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; YTB730; GTB0.0; .NET CLR 1.1.4322)@199.119.111.219.dy.bbexcite.jp>
▼え?さん:
>批判でなくてさ、主が伝えたい事もわかるけどはずれちゃったら、みててあったけど、それこそなんかへんな批判腐れ○○〜みたいに言うひととかもいるよ?
>
>だからスレたてて言いたいことあればメールできるようにアドのせしたよ?
>
>嫉妬はしないよ、俺もみてていいなと思うけどさ、なんだべ掲示としては違うから恋で続けた方が適切だと思う。
>
>前置きしっかり健全になってたら小説っぽくなっちゃってるからさ
>
>主もスレ人もそうでない人も、よく考えてさ、いった言葉に責任でも相手をあおると言うかシコリが残るような言いはしなくていいと思うけど、読めば批判ではないとわからない、そう言ってしまえる人に頑張ろうとか書きたいとかっておもうのかな?
>
>ただの疑問もまぢっちゃってごめんね?
>
>スレるくらいならメール頂戴?掲示にめいわくだから。
>
>そうでなかったら別に触れないで頑張ってっていいなよ、そうゆう女々しい励ましも言い方もすきぢゃない←俺の主観ね、ごめんね。
>主からもメールほしいな〜
>ちなみに俺も待ち遠しく読んでる一人だよ♪
読点の配置に規則はありません
しかし、日本人にしてはあまりに酷すぎる
質問、扇動、屁理屈。
それぞれのカテゴリーに分けて話すのが道理
言いたいことがあるのなら
もう少し気を配りなさい
<Opera/9.30 (Nintendo Wii; U; ; 3642; ja)@softbank219196146210.bbtec.net>
やっと読めてうれしいです。
Hなシーンに持っていくための前置きが長いのは
それはそれで仕方ないのかなーと俺は思います。
俺はすごい翼くんの書き方好きです。
<SoftBank/1.0/930SH/SHJ001/SN353689020837319 Browser/NetFront/3.4 Profile/MIDP-2.0 Configuration/CLDC-1.1@w12.jp-t.ne.jp>
この書き込みは投稿者によって削除されました。(10/5/25(火) 12:10)
批判コメは嫉妬だから気にせず頑張って下さい
応援してます
続き気になります^^
<KDDI-HI3F UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.3.352 (GUI) MMP/2.0@07012320587491_vs.ezweb.ne.jp>
<DoCoMo/2.0 D905i(c100;TB;W24H17;ser355291013383480;icc8981100020657853503f)@proxyag007.docomo.ne.jp>
そこは愛情表現と受けとってください笑っ
自分が主人公とかなんかずうずうしい気がして。
合コンのきっかけを作ってくれた、准と愛斗が適切かな?って思ってます☆
<DoCoMo/2.0 SH03A(c100;TB;W24H16;ser353687020052442;icc8981100000682529054f)@proxycg056.docomo.ne.jp>
初雪が降った。
ほぼ平年通りだ。
北海道の冬は半年続く。
東京に住んでる友達なんかは雪がうらやましいと言うが、はっきり言って、うんざりとする。
だけど初雪だけは別で。なんでだろう。
この時期になると、早く雪が降らないか、ワクワクして、待ち遠しくなってしまう。
この日は珍しくメールが続いた。朝のメールが、
「題名;のぶくん誕生日おめでとう
本文;今日誕生日すよね。おめでとです。
暇なんで良かったら夜とか遊ばないすか?」
このメールを送ってきたのは、いつぞや、掲示板で会ってHした、俺をタカシと呼んでた、浩輔(こうすけ)だった。
あの後、謝って普通に遊ぶようになっていた。
俺はとりあえず、用事がある為、今度遊ぶ約束をした。
今日11月18日は俺の誕生日。
でも、昔から自分で誕生日を言うのとか苦手で、回りも知らない人がほとんどである。
勿論、准や愛斗にも言っていない。
だけど、
「題名;ちゃお
本文;よっ!のぶ明日誕生日でしょ?
光一札幌来てるんだよね。遊ばない?」
と、准からメールが来た。 俺は、准にも言った事がないのにな、と腑に落ちなかったけど、淋しい事に予定が何もなかったんで、遊ぶ事にした。
仕事が終わって携帯を開くと、谷と、これは本当に珍しい事だが、みちからメールで、おめでとうと添えられていた。
二人、というか准も同じところで働いていて、二人とも遅番で、今日は来れないらしい。
みちからメールがくるなんて、意外ですごく嬉しかった。
愛斗からも来ていたが、愛斗のメールは、なんて事のないメールだったから、愛斗は知らないらしい。
新札に行くと、改札に准と光一が待っていた。
光一とは愛斗と遊んで以来だから、半年ぐらいぶりになる。
俺達は、つぼ八でご飯を食べた後、カラオケに入った。
准「のぶ、誕生日おめでとうね」
俺「ありがとう。てかどうして俺の誕生日って分かったの?」
准「アドレスに数字入ってるよね。大抵は誕生日だからさ」
俺「あっなるほどね。てか俺、誕生日って、こうやって誰かと過ごした事ほとんどないから、ほんとうれしいさ」
光一「へぇーのぶあんま友達いなそうだもんね笑」
俺「失礼な。回りに言ってないだけだから」
准「なんで言わないの?」
俺「祝われ慣れてないからなんだか照れ臭くて」
准「祝われなれてないって笑俺と光一ならいいの?」俺「うん」
准「じゃあさ、これから、のぶの誕生日は俺達が祝ってあげるよ。
今年も来年もずっと。
だから、今度からは一緒に誕生日過ごそうね」
俺は、この何気ない一言に感動し嬉しくなった。
自然に目頭が熱くなった。好きな人と誕生日を一緒に過ごせる。
想像しただけでも幸せだ。それに、ずっと一緒にって想ってくれてる。
言わない誕生日の日にちまで、察してくれている。
准のこうした気遣いが俺にはスゴイうれしくて。
その優しさに思わず目が潤む。
酒のせいかも知れない。
光一「のぶ泣きそうじゃんそんなんで泣くなよ笑」
俺「うるさい、泣いてないし」
俺は必死で堪えた。
自分の誕生日に祝ってもらえた事あったかなと回想してみた。
思い出せるのは、高校の時に付き合っていた、工藤の時くらいか。
なんか、ふと懐かしく思った。
一通り話すと、歌う事になった。
まぁ自分歌下手だけど、人数少ないから、いいか。
准はプロを目指すだけあって、なんでも唄った。
でも、やっぱりサスケの青いベンチを唄っているトキが好きだ。
なんでこんなに切ない歌声が出せるんだろう。
そして、歌が上手い人はなんでカッコ良く見えるんだろう。
光一も今時の若い子らしく、カラオケ慣れしていてケミストリーやL'Arc、GLAY特にレミオロメンの粉雪が得意のようだ。
酒も浴びる様に飲んだ。居酒屋からビール、焼酎、キウイサワーを飲み放題でずっと飲み、カラオケに着いてからは、カルーアミルクを何杯も飲んだ後、ウイスキーのロックダブルをずっとかきこんでいた。
2時を回り、そろそろ帰ろうかという頃には、結構ぐでんぐでんになっていた准「げっ、結構飲んだね笑気持ち悪っ。もう飲めないよ」
俺「だらしないなぁ、貸してみな。准。うっ」
俺は准のウイスキーと、自分のウイスキーをイッキ飲みした。
これが良くなかったのだろう。
ドクンと吐き気が襲った。まだ、吐くまでには時間があったから、トイレに駆け込んで、便器に戻した。
帰り道は足元がフラフラだったが、もうすっかり出来上がっていて、笑ったり歌ったりして大変だった。寒さで、くしゃみが止まらなかった。
准の家に着いた。
<DoCoMo/2.0 SH03A(c100;TB;W24H16;ser353687020052442;icc8981100000682529054f)@proxycg055.docomo.ne.jp>
月曜日、俺は朝からどきどきしながら駅へ向かった。先週の金曜日以来、ずっとあの一件が忘れられずなにも手につかない状況だった。そして今日が今週初めての登校日。ずっと、なんて言おうか、なんて話しかけたらいいのだろうと、答えの無いことをいつまでも考えていた。それでも駅との距離は確実に近づいてゆく。ぐだぐだと考えているうちにいつのまにかいつもの電車をホームで待っていた。
電車が来た。いつもの最後尾の、いつもの後ろの扉から乗車する。伏せていた顔を少しずつ上げ、隼人が座っているはずのいつもの席をのぞき見た。しかしそこに、隼人の姿はなかった。ほっとする気持ちと、心が落ちたような、底知れない恐怖に似た不安がよぎった。隼人がいつも座っている席には見ず知らずのおじさんが座っていて、カバンを抱いてうとうとと眠っていた。その光景は何を意味するのだろうか、もう俺とは会わないということなのだろうか、それとも今日はたまたま乗っていないだけなのだろうか、さらに俺の不安は深まるばかりだった。
しかしふと思い返して、たしか一週間ほど朝練で30分早くなるから一緒に行けないと隼人が言ったことを思い出した。それを聞いたのは先週の中ごろのことだったから、早朝練習が一週間だとするとまだ終わっていない計算になる。俺は祈る気持ちで『ゼッタイそうだ』と自分に言い聞かせ、その日はしのいだ。しかし次の日も、その次の日も、登校する電車の中で隼人の顔を見ることはできなかった。
木曜日。半分あきらめかけていた俺が電車に乗り込むと、あの席に隼人が座っていたのだ!あまりにも予期しておらず突然のできごとだったので、さっと人影にかくれて様子をうかがった。
俺の心臓は月曜日の比ではないくらい高鳴り、喉が乾くのがわかった。
隼人は眠っていた。緑に光るウォークマンをして腕組みをしながら。冬の乾いた朝日に照らされたその姿は、初めて隼人を見た時と同じような光景がした。あまりにもきれいな顔立ちで、寝顔も整ったその姿は、本当に以前までこの人と親しく会話をしていたのかと疑ってしかたがなかった。そして俺にした行為も・・・・・・。なんだか人間的に格が違う気がして、皆が彼を羨むのも無理はないなと、今はそう思えた。
人はなぜ、その人との距離が縮まれば縮まるほど、その人の価値を見失ってしまうのだろうと思った。手の届かない、その人と距離が遠い頃は、その人の価値は計り知れないものだったのに、いざ話すようになって自分のものになってしまうと、その人自体の価値は変わらないけれど、自分のその人に対する価値は変わってしまう。それはそれだけその人との距離が縮まったということだけど、なんだか残念な気持ちもあったりするのだ。
現に、俺の隼人に対する価値は変わってしまって、それが原因で隼人をないがしろにして今こんな状況に陥ってしまっているのだ。隼人と話せなくなってから存在の大きさに気づくとは、つくづく自分に嫌気がさした。
いつもなら俺の駅で起きて出迎えてくれるのだが、隼人は寝たままで一向に起きる気配がなかった。当然俺に話しかける資格などなく・・・・・・というか、むしろ勇気などなく、俺はこれ以上隼人を見るのが辛いのと、もし隼人が起きて俺と目が合ったとき、どう話せばいいのかもわからなかったので、隼人の座っている席を通り越してひとつ前の車両に移ることにした。
学校の駅に着くと、俺たちは最後尾側に向かってホームを歩くので、数十メートル先に登校する隼人の姿があった。俺はその隼人に話しかけることもできずに後からついていくようにして登校した。
そんな登校の仕方が1週間ばかり続いたある日、俺が車両を降りても隼人の姿がなかった。不思議に思った俺は、最後尾の隼人がいつも座っている席を見た。すると隼人はまだ寝ているようで、学校の駅に着いたことを知らないようだった。その時駅員のアナウンスが流れた。
「まもなくドアが閉まります。駆け込み乗車はおやめください」
俺はあせった。このままだと隼人は気づかずに行ってしまう。でも話しかける勇気もないし、だからといってこのまま見過ごすこともできないし・・・・・・と板ばさみ状態で悩んでいた。しかしそんなに悩んでいる時間もなく、もう最終的には反射的に車両に乗り込みと、急いで隼人を起こしに行った。隼人の肩をたたいて起こす。
「隼人、隼人!駅に着いたぞ!はやく降りないと閉まっちゃうよ!」
するとようやく隼人は寝覚めて悠長に伸びをした。
その時電車の扉が閉まった。電車は俺と隼人を乗せたまま動き始めた。
<Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.2.3) Gecko/20100401 Firefox/3.6.3 (.NET CLR 3.5.30729)@119-228-212-75.eonet.ne.jp>